オットー

オットー (Otto)

「オットー（Otto）」は、主にドイツ語圏を中心に見られる、ゲルマン語に由来する男性名および姓です。その語源は古高ドイツ語の「ōt」や「ōdo」に遡り、「財産」「富」「相続財産」といった意味合いを持っています。

この名称は、ヨーロッパ各地でそれぞれの言語の形態を取りながら用いられています。例えば、フランス語では「オトン（Othon）」、イタリア語では「オットーネ（Ottone）」や「オッドーネ（Oddone）」、チェコ語では「オタ（Ota）」といった形になります。キリスト教西方教会においては、「オットー」を聖名とする人物の記念日が6月30日に祝われる聖名祝日として定められています。

人名として

「オットー」という名は、歴史上の多くの著名な人物によって冠されてきました。特に、中世ヨーロッパにおける神聖ローマ帝国や、近代以降のバイエルン王国など、多くの重要な君主がこの名を名乗っています。神聖ローマ皇帝ではオットー1世からオットー4世までが知られ、バイエルン王でもオットー1世などがいます。他にも、ザクセン公やギリシャ王（オソン1世）、様々な伯爵や公爵など、数多くの貴族や支配者が「オットー」という名を持っています。

君主以外にも、様々な分野で歴史に名を残した「オットー」たちがいます。

科学・技術分野:
化学者では、ノーベル化学賞を受賞したオットー・ハーンなどが挙げられます。また、飛行機の開発に貢献した航空技術者オットー・リリエンタール、ガソリンエンジンの基礎となるサイクルを開発したニコラス・オットー（姓ですが、関連して紹介）、物理学者オットー・フォン・ゲーリケ、医学者オットー・ワールブルクなど、多岐にわたる分野で著名な人物がいます。

政治分野:
「鉄血宰相」として知られ、ドイツ帝国を築いたオットー・フォン・ビスマルクは、最も有名な「オットー」の一人でしょう。近現代では、東ドイツの初代首相オットー・グローテヴォールなどがいます。ハプスブルク家の最後の皇太子オットー・フォン・ハプスブルクも、政治家として活動しました。

芸術・音楽分野:
指揮者では、20世紀を代表するオットー・クレンペラーが知られています。建築家としては、近代建築の祖とされるオットー・ワーグナー、テント構造で有名なフライ・オットー（姓）がいます。

軍事分野:
ドイツ国防軍の戦車兵として活躍したオットー・カリウス、Uボートのエース艦長オットー・クレッチマー、特殊作戦で知られるオットー・スコルツェニーなど、軍事史に関わる人物も複数存在します。

その他:
『アンネの日記』で知られるアンネ・フランクの父、オットー・フランクもこの名を持つ一人です。

姓として

「オットー」は個人名だけでなく、姓としても使われます。ガソリンエンジン開発者のニコラス・オットーや建築家のフライ・オットーは姓として特に有名です。競泳選手のクリスティン・オットー、俳優のゲッツ・オットーなどもこの姓です。

その他の用例

人名以外にも、「オットー」という名称は様々な場面で使われています。

企業・ブランド:
ドイツに本社を置く大手通信販売会社に「オットー」があります。かつてその日本法人「オットー・ジャパン」も存在しました。三洋電機が過去に展開していた高級オーディオブランド「OTTO」もこの名称です。
媒体:
西日本新聞社が運営する電子媒体「西スポWEB OTTO!」があります（この場合は「オット」と発音）。
文化:
日本のロックバンドに「8otto」がいます。

フィクション

創作の世界にも、「オットー」という名の登場人物が複数見られます。スペースオペラ『キャプテン・フューチャー』に登場する特徴的なアンドロイド、『機動戦士ガンダム』シリーズのカリウス・オットー（0083）やオットー・ミタス（UC）、ミュージカル『グランドホテル』のオットー・クリンゲライン、ライトノベル『Re:ゼロから始める異世界生活』のオットー・スーウェンなどが代表的です。

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