スターシュート

スターシュート：アイルランドからアメリカへ、サラブレッドの伝説

1898年、アイルランドのエアーフィールドロッジスタッドで生まれたサラブレッド、スターシュート。栗毛に美しいたてがみ、後脚には白い斑点を持つ容姿の持ち主でした。父はイギリス三冠馬アイシングラスという良血を受け継いでいました。しかし、生後間もなくウイルスに感染し、命の危機に瀕します。生産者ユーステイス・ローダー氏も危ぶんでいましたが、牧場の馬丁、ダン・マクナリー氏の献身的な看護により一命を取りとめ、競走馬としての道を歩むことになります。

競走馬時代：輝きと挫折

2歳になったスターシュートは、ジョン・ハギンズ調教師の下で競走馬としての訓練を受けます。デビュー戦は1900年6月。結果は2着とまずまずのスタートを切ります。その後も勝利を重ね、サンダウンパーク競馬場のブリティッシュドミニオン2歳プレートで初勝利、続くハーストパークフォールプレートでも勝利を収めます。しかし、ナショナルブリーダーズプロデュースステークスでの優勝を最後に、次第に勝利から遠ざかり、翌年にはクラシック戦線への挑戦を断念せざるを得ませんでした。最終的に10戦3勝という成績で競走馬生活を終えます。

種牡馬への転身：アメリカでの成功物語

呼吸器疾患や脚の弱さなど、種牡馬としては不利な要素を抱えていたスターシュート。イギリスでの種牡馬入りは困難と判断され、1901年にアメリカ合衆国へ輸出されます。ケンタッキー州パリのラニーメードファームで種牡馬としての生活がスタート。

驚異的な成功を収めます。1908年から1923年まで、アメリカの上位種牡馬20頭の中に常に名を連ね続け、1911年、1912年、1916年、1917年、そして1919年にはアメリカリーディングサイアーの栄冠に輝きました。 その成功は繁殖牝馬の質に関わらず、数々の活躍馬を輩出したこと、そして短距離から長距離、芝からダートまで幅広い活躍馬を輩出したことにあります。2歳戦に強い産駒も多く、常に2歳リーディングサイアーの地位を維持しました。

1912年にはハンバーグプレイスファームへ移動し、そこでさらに多くの産駒を送り出しました。

代表的な産駒：名馬たちの系譜

スターシュートは数々の名馬を父として輩出しました。中でも最も有名なのは、アメリカクラシック三冠を達成したサーバートンです。他にも、ケンタッキーオークス優勝馬のウィングティング、シャンペンステークスなどを制したケンタッキーボー、そしてアメリカ年度代表馬となったグレイラグなど、多くの活躍馬がいます。

これらの産駒は、競走馬としてだけでなく、種牡馬としても成功した馬もいます。しかし、スターシュートの父系は、主要競走の世界からは途絶えてしまいました。

一方で、スターシュートは母父としても大きな成功を収めました。1924年から1926年、1928年、1929年にはアメリカリーディングブルードメアサイアーに輝いています。 ベルモントステークス優勝馬クルセイダーなど、母父として多くの活躍馬を輩出しました。

晩年と評価

スターシュートは1919年11月19日、肺炎のため22歳で生涯を終えました。その功績を称え、フォートエリー[[競馬場]]には「スターシュートステークス」が創設されました。

スターシュートは、競走馬としては目覚ましい成績を残せませんでしたが、種牡馬、そして母父としての功績は計り知れません。アメリカ競馬史に大きな足跡を残したサラブレッドとして、その名は永遠に語り継がれるでしょう。 彼の血統は、現代のサラブレッドの血統に大きな影響を与え続けています。

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