スーベニア

スピッツの11枚目のオリジナルアルバム『スーベニア』は、2005年1月12日にユニバーサルミュージックからリリースされました。前作『三日月ロック』から約2年4ヶ月ぶりのアルバムとなり、初回盤はシルバーの特殊印刷が施されています。

アルバム制作にあたり、ボーカルの草野マサムネは、前回のツアーでの弾き語りコーナーの経験から、「もし自分が街中でストリートライブをしたら、誰が耳を傾けてくれるだろうか」という問いを持つようになりました。この経験が、よりストレートで伝わりやすい言葉を重視するきっかけになったと言います。

アルバムタイトルである「スーベニア」は、英語で「お土産」や「記念品」を意味します。「ギフト」という言葉も候補に挙がったそうですが、スピッツらしくないという理由で「スーベニア」が選ばれました。また、ギターの三輪テツヤは、「スーベニア」を逆から読むと「アニベース」になることから、プロデューサーであるベーシストの亀田誠治を逆さ吊りにしたイメージであると述べています。

ジャケットのカバーモデルは松本夏空さん、エンジニアは高山徹さんが担当しています。高山さんは、メンバーが以前から起用を希望していたエンジニアで、くるりやコーネリアスのアルバムを手掛けています。

マスタリングは、メンバーのスケジュール調整が難しかったため、前作に引き続き、ロサンゼルスのエンジニア、スティーヴン・マーカソンが担当しました。

収録曲について

アルバムには、全13曲が収録されており、その中でも特に注目されるのが以下の楽曲です。

春の歌：2005年のAQUARIUSのキャンペーンソングに起用され、後にシングルカットされました。アルバムのオープニングを飾る曲として制作されています。
ありふれた人生：日常の中に潜む感情を描いた、心に響く一曲です。
甘ったれクリーチャー：「あまったれ」という言葉は、このアルバムのツアータイトルにもなりました。
優しくなりたいな：過去のライブイベントで披露されていた、ボーカルとピアノがメインの曲です。
ナンプラー日和：沖縄民謡を意識した楽曲で、三線が使用され、琉球音階が取り入れられています。よなは徹さんが三線を演奏しています。
正夢：アルバムの先行シングルで、ドラマとCMのダブルタイアップとなりました。
ほのほ：アルバムのタイトル候補にも挙がっていた曲で、アニメ『ハチミツとクローバー』の挿入歌として使用されました。「炎」の旧仮名表記がタイトルとなっています。
ワタリ：間奏のギターは草野マサムネが演奏しています。
恋のはじまり：こちらも過去のライブイベントで披露されており、本作のレコーディングはこの曲からスタートしました。
自転車：以前から存在していたという、懐かしさを感じさせる曲です。
テイタム・オニール：タイトルは女優のテータム・オニールに由来しています。
会いに行くよ：ライブで弾き語り演奏されたこともある曲です。
みそか：2006年のAQUARIUSキャンペーンソングに起用されました。ツアーの後半から演奏された楽曲です。

アナログ盤について

アルバム発売後、シングル『正夢』のカップリング曲「リコリス」を追加収録した2枚組のアナログ盤がリリースされました。歌詞カードには、漫画家の本秀康さんによるオリジナルコミックが掲載されています。「テイタム・オニール」は、CD盤とは異なり、フェードアウトしないフルバージョンが収録されています。アナログ盤の収録曲順は以下の通りです。

DISC 1
A Side:
1. 恋のはじまり
2. ワタリ
3. みそか

B Side:
1. 春の歌
2. 甘ったれクリーチャー
3. 会いに行くよ

DISC 2
C Side:
1. 優しくなりたいな
2. リコリス
3. ナンプラー日和
4. 正夢

D Side:
1. ほのほ
2. 自転車
3. テイタム・オニール
4. ありふれた人生

参加ミュージシャン

草野マサムネ：ボーカル、ギター
三輪テツヤ：ギター
田村明浩：ベース
﨑山龍男：ドラムス、パーカッション
亀田誠治：プログラミング
斎藤有太：アコースティックピアノ
皆川真人：アコースティックピアノ
よなは徹：三線
金原千恵子グループ：ストリングス

『スーベニア』は、スピッツの音楽的な幅広さと、普遍的な魅力を兼ね備えた作品として、多くのファンに愛されています。

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