タピット

Tapit：アメリカ競馬史に名を刻む名種牡馬

Tapitは、アメリカで生産・調教された競走馬にして、後に伝説的な種牡馬となったサラブレッドです。2004年のウッドメモリアルステークスや2003年のローレルフューチュリティステークスなど、数々の重賞競走を制覇しました。

競走馬時代、Tapitはアメリカクラシック三冠レースの有力候補と目されていました。しかし、度重なる病気に見舞われたことが、その夢を阻みました。肺感染症や脚の腫瘍など、幾度となく襲いかかった病気は、彼の競走生活に大きな影を落としました。フロリダダービーでは6着に敗れ、ケンタッキーダービーでは9着に終わっています。期待されたベルモントステークスへの出走も、感染症が完治しなかったため断念せざるを得ませんでした。結果的に、三冠レースの前哨戦のみを制して、競走馬としてのキャリアを終えました。

それでもTapitの輝かしい物語は、種牡馬として新たな章を迎えます。2005年、ケンタッキー州レキシントンのゲインズウェイファームで種牡馬入りしたTapitは、初年度の種付け料が1万5000ドルと設定されました。

そして2008年、初年度産駒がデビュー。その中でスターダムバウンドがブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズなどG1競走3勝を挙げ、エクリプス賞最優秀2歳牝馬に選出される活躍を見せました。この活躍により、Tapitは北米リーディングファーストクロップサイアーおよび北米リーディング2歳サイアーに輝き、その名を一気に知らしめることとなります。

その後も、Tapitは毎年活躍馬を輩出し続けました。種付け料は右肩上がりで上昇し、2011年には8万ドル、2012年には12万5000ドルにまで跳ね上がりました。そして2015年には、前年の15万ドルから30万ドルへと倍増。年間の種付け頭数を125頭に制限しながらも、その高い価格は2018年まで維持されました。

彼の産駒の活躍は賞金額にも反映され、2014年には産駒による北米年間最多収得賞金を更新。その金額は2500万ドルを超え、Tapit自身初の北米リーディングサイアーの称号をもたらしました。

Tapit産駒の活躍はアメリカにとどまりません。日本でも、フェブラリーステークスを制したテスタマッタや、UAEダービーを制覇しアメリカクラシック三冠レースに全て出走したラニなどが活躍しました。初期においては、テスタマッタの獲得賞金が産駒の収益の大半を占めていたとも伝えられています。また、スターダムバウンドなど、繁殖牝馬として日本に輸入された産駒も存在します。

数々のG1競走馬を輩出したTapitの代表的な産駒には、スターダムバウンド、タピッツフライ、ハンセン、コンスティテューション、トーナリスト、アンタパブル、フロステッド、クリエイターII、タップリット、エッセンシャルクオリティ、フライトラインなどが挙げられます。これらはほんの一例であり、Tapitは実に多くの優秀な競走馬を送り出しました。

Tapitは母父としてもその能力を発揮しています。代表的な産駒には、グランアレグリア、コディーズウィッシュ、プリティミスチヴァス、アルカンジェロなどがいます。

特にベルモントステークスとの関係は特筆に値します。Tapit産駒はベルモントステークスで4勝を挙げており、これは19世紀の大種牡馬レキシントンと並ぶ大記録です。

高額な種付け料、数々のG1馬、そしてベルモントステークスでの圧倒的な勝利数。Tapitは、その類まれな能力と影響力によって、アメリカ競馬史に不滅の功績を残した、まさに伝説的な種牡馬と言えるでしょう。彼の血統は、これからも世界中の競馬界で輝き続けることでしょう。

もう一度検索