ハクサイ

ハクサイ（白菜）

ハクサイは、アブラナ科の二年生植物であり、学名は Brassica rapa var. glabra 'Pe-tsai' です。主に中国料理に用いられる人気のある野菜で、日本では特に冬の食卓で愛されています。

名称

ハクサイの名前は中国語の「白菜」に由来しており、日本語でも「菜っ葉」を意味する「napa」や「nappa」に関連しています。アメリカでは「Chinese cabbage（中国のキャベツ）」と呼ばれ、フランス語では「chou chinois」、イタリア語では「cavolo cinese」と呼ばれ、いずれも「中国のキャベツ」を意味します。

歴史

ハクサイは、野生植物であるブラッシカ・ラパから派生いたしました。歴史的には、2300万年前から形成されたこの植物が、地中海沿岸からギリシャに広がり、200万年前には中央アジアに達したと考えられています。6000年前の、西安郊外の半坡遺跡から発見された種子は、人々がハクサイを人為的に栽培していた証拠ともいえます。

栽培地域

ハクサイは中国の北東部を起源とし、漬け菜の仲間から発展しました。11世紀には結球型が発祥し、17世紀に品種改良が進み、現在のハクサイの姿が見られるようになりました。江戸時代には非結球種が日本に渡来し、1866年に結球性の品種が導入されました。

朝鮮半島では、高価な品種が富裕層向けに栽培され、18世紀になると全土で広まるようになりました。一方、ヨーロッパでは1888年から栽培が始まりましたが、当初は価値が乏しかったとされています。

日本での栽培の成功

明治時代になると、政府が清国から種子を輸入しようとしましたが、最初の試みは失敗しました。しかし、愛知県の栽培所での試行により、やがて成功へとつながりました。特に、松島での種子の隔離を通じて、他のアブラナ科植物との交雑の問題を克服し、安定した品種開発が実現しました。これにより、20世紀初頭には広く流通するようになり、結球白菜が日本の食文化の一部となりました。

品種

ハクサイには、結球性、半結球性、不結球性の3つのタイプがあります。特に一般的にハクサイと呼ばれるのは結球タイプです。中国では、山東系、河北系、河南系などに分類され、日本では主に山東系が栽培されています。

次第に日本でも多様な品種が生まれ、甘味や大きさ、食感に応じた選択肢が広がっています。これらは主に冬の鍋料理や、あるいは独自の漬物として親しまれています。

栽培環境

ハクサイは涼しい気候を好み、特にpH6.0から6.5の土壌が理想です。一般的に秋に播種し、初冬から春にかけて収穫されます。種まきから収穫には数ヶ月かかりますが、気温や栄養の管理が特に重要で、適切な温度で育つことが推奨されています。

疫病と害虫

ハクサイは様々な病害虫に影響を受けやすく、予防策が重要です。特に軟腐やウイルス病、アブラムシ、アオムシなどの被害が多発しやすく、注意が必要です。

食用としての価値

ハクサイは低カロリーで豊富な栄養素を含んでいます。ビタミンやミネラルがバランス良く含まれており、特に冬場にビタミンCを供給する重要な食材とされています。また、イソチオシアネートなどの抗がん作用を持つ成分も含まれ、健康的な食生活に寄与します。

料理では鍋物や炒め物、サラダなど、多種多様なレシピに使用されています。ハクサイは冬の温かい厨房での存在感を持つ野菜であり、私たちの食文化に欠かせない存在です。

もう一度検索