ヘッドロック

ヘッドロック（Headlock）

ヘッドロックとは、プロレスにおける代表的な技であり、日本語では「頭蓋骨固め」とも呼ばれます。この技の中でも特に「サイド・ヘッドロック」が一般的であり、相手の頭を脇に抱え込んで締め上げるスタイルが特徴です。このヘッドロックは「リバース・チャンスリー」や「サイド・チャンスリー」とも呼ばれることがあります。

概要

ヘッドロックは、まずロックアップ（カラー・アンド・エルボー）の体勢から発動することが多く、連携技や返し技も豊富なため、プロレス技の基礎的な要素として位置づけられています。技が極まった際には、こめかみや頚部に強い圧がかかり、激しい痛みを伴うことがあります。

歴史的には、ヘッドロックは第二次世界大戦前にエド・ルイス等によりフィニッシュ・ホールドとして使用されていました。ルー・テーズなどのレスラーは、この技をバックドロップと組み合わせて使うことでも知られています。テーズはヘッドロックをうまく使い、相手を引き込むことでバックドロップのチャンスを作ることに注力していたという伝説があります。

1970年代以降、ヘッドロックは試合の序盤やつなぎの技として使用されることが増え、フィニッシュ・ホールドとしての存在感は薄れていきました。それでも、全日本プロレスでは小橋健太や秋山準がヘッドロックを決めた上でピンフォールやギブアップを獲得することもありました。

さらに、総合格闘技のリングでも使用されており、吉田秀彦がモーリス・スミスとの試合でヘッドロックを用いてタップアウトを奪った事例があります。彼のヘッドロックは特有の体重移動や極め方の工夫があり、ひとたびしっかりと決まると非常に危険な技とされています。

2019年には、ケンカ中にヘッドロックをかけた一般の男性が相手を死亡させるという痛ましい事件も起きました。これはヘッドロックが実戦で危険な技である可能性を浮き彫りにしています。

主な使用者

ヘッドロックは歴史上、数多くの著名レスラーによって用いられてきました。エド・ルイスはその強力な絞め技から「ザ・ストラングラー」と呼ばれる異名を持っていました。ダニー・ホッジは異常な怪力で知られ、彼の技は「ホッジ・ヘッドロック」として名付けられました。

有名なレスラーの一人、ボブ・バックランドは、素人乱入時の対処技として使ったことでも知られています。他にも、ジャイアント馬場はヘッドロックを防衛戦で多用し、垣原賢人はグラウンド・ヘッドロックを磨いてきました。

ヘッドロックの種類

ヘッドロックにはいくつかのバリエーションがあります。基本的なサイド・ヘッドロックに加え、グラウンド・ヘッドロックやフロント・ヘッドロックも代表的なタイプです。フロント・ヘッドロックは、相手をがぶる状態から締める形で、座ったり立ったりして行うことができます。この体勢からは、ネックブリーカーに移行することも可能です。

ブルドッギング・ヘッドロックとして知られる技もあり、これは相手の頭をヘッドロックしたまま対角のリングに走り込み、そのまま倒れ込む技です。これらの技は、単なる絞め技とは異なり、様々な戦略的要素を持つことでも知られています。

返し技

ヘッドロックには多くの返し技も存在します。特にバックドロップがその一つで、状況に応じて相手を使って倒すことが可能です。また、強引に相手の首を抜いてバックを取る技や、ワンハンド・バックブリーカーなども有名です。

このように、ヘッドロックはプロレスの基礎でありながら多様な工夫が施された興味深い技です。それゆえに、レスラーたちはこの技を駆使して自らのスタイルを確立してきました。

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