ヘリ空母

ヘリ空母の概要

ヘリ空母、またはヘリコプターキャリアとは、複数のヘリコプターを搭載し、離着陸が可能な飛行甲板や格納庫を備えた船舶のことを指します。航空母艦との違いは、航空機の運用を主目的とする艦船でありながら、水陸両用作戦能力を持たないことがその一つです。国際戦略研究所とジェーン海軍年鑑では、ヘリ空母の定義に若干の違いがありますが、いずれもヘリコプターを搭載し運用する艦船としての特徴を強調しています。

ヘリコプターの発展と海兵隊の役割

ヘリコプターの技術が進化するにつれ、アメリカ海兵隊はこれを水陸両用作戦に活用するための研究を開始しました。特にヘリボーン戦術の利点は、部隊の迅速な展開を可能にし、戦術核兵器の標的になりにくい点や、放射性物質を含む津波からの影響を避けやすい点にあります。1947年にはシコルスキーR-5を装備した第1海兵ヘリコプター飛行隊（HMX-1）が設立され、1948年5月には護衛空母「パラオ」を母艦にした上陸演習「オペレーション・パッカードII」でヘリボーンの戦術が実証されました。

1950年代の変革

しかし、戦後の予算削減や水陸両用作戦の将来的な有用性が疑問視されたため、ヘリコプターに関する研究は一時停滞しました。しかしながら、1950年の仁川上陸作戦を経てその価値が再確認され、1951年からは空中強襲の構想が再検討されました。この時、攻撃輸送艦に航空母艦的機能を組み合わせた艦が、「APA-M」や「AKA-M」という仮称で登場することになります。

1954年には大西洋艦隊がLSTの代わりにAPA-Mを建造するよう提案します。この議論を受けて、1955年には護衛空母「セティス・ベイ」が強襲ヘリコプター空母に改装され、世界初のヘリコプター運用に適した航空母艦となりました。また、次第に設計コンセプトはヘリコプター揚陸艦（LPH）という新たな艦種へと進化していきました。

海外の動向

イギリス海軍もこの動向に注目し、1956年には護衛空母をヘリ空母として運用し、実戦での有用性を示しました。さらに、イタリア海軍は固定翼機の運用を終了し、ヘリコプター揚陸艦として運用する戦略を採ることになりました。アメリカ海軍では、1970年代に多機能な強襲揚陸艦（タラワ級）が建造され、対潜戦能力も兼ね備えるように進化しました。

対潜戦への活用

ヘリ空母は対潜戦でも重要な役割を持っています。第二次世界大戦中、護衛空母は対潜戦に貢献しましたが、戦後はヘリコプターの活用が主流となりました。特にソ連海軍では、艦載ヘリコプターの有効な運用を考慮して、ヘリ空母の建造が進められました。また、イギリスやアメリカでも似たような考え方から、ヘリコプター揚陸艦の運用が行われました。

現代のヘリ空母とその未来

現在、海上自衛隊を始めとする各国海軍はヘリ空母の運用方法を模索しており、ヘリ空母の重要性はますます高まっています。日本海自隊のひゅうが型やいずも型も、ヘリ空母として運用されることが期待されています。今後の技術革新により、ヘリ空母の性能や運用方法が進化していくことでしょう。

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