モガミ

モガミ：競走馬としての平凡から種牡馬としての成功へ

1976年5月18日、フランスで生まれた競走馬モガミ（Mogami）。名種牡馬リファールを父に持ち、その牝系には名牝ラトロワンヌの名も連なるサラブレッドでした。シンボリ牧場とメジロ牧場の共同所有馬としてフランスで競走生活を送りましたが、通算20戦3勝という成績は、一流競走馬と呼ぶには程遠いものでした。主な勝ち鞍はリステッド競走のフォール賞のみ。1981年に競走馬を引退します。

しかし、モガミの真価は引退後、種牡馬として発揮されることになります。1981年に日本へ輸出され、シンボリスタリオンステーションで繋養されると、その繁殖能力は想像を超えるものだったのです。初年度の種付け頭数はわずか32頭でしたが、初年度産駒から東京優駿（日本ダービー）を制したシリウスシンボリが誕生。さらに2世代目には、桜花賞、優駿牝馬、エリザベス女王杯を制覇した中央競馬牝馬三冠馬メジロラモーヌが誕生し、一躍人気種牡馬の仲間入りを果たします。

その後もモガミは、数々のGI競走優勝馬や重賞優勝馬を輩出し続けます。その産駒の特徴は、スタミナの豊富さと勝負強さ。活躍馬の多くが中距離以上のレースで好成績を残しました。さらに、シンボリクリエンスやメジロマスキットなど、障害競走界で名を馳せた名馬も多く輩出しています。モガミ産駒は、中山大障害、東京大障害といった重要な障害競走を席巻したのです。

しかし、モガミ産駒には弱点もありました。一つ目は、瞬発力に欠け、上がりの速いレースに対応できないこと。そしてもう一つは、気性の悪い馬が多いことでした。サンデーサイレンスが登場するまでは、モガミの名は気性難の代名詞として使われることもありました。モガミ自身も腹がぼてっとした体格でしたが、それが仔に遺伝するケースも多く見られました。

2002年、モガミは種牡馬を引退。そして2004年10月16日、心不全のため、惜しまれつつもその生涯を閉じます。競走馬としては目立った成績を残せませんでしたが、種牡馬として日本の競馬界に計り知れない貢献を果たしたモガミ。その名は、日本の競馬史に永遠に刻まれることでしょう。

主な産駒

モガミの産駒は、数多くのGI競走や重賞競走で勝利を収めました。以下はその中でも特に有名な産駒です。

シリウスシンボリ (1982年産): 東京優駿（日本ダービー）優勝
メジロラモーヌ (1983年産): 桜花賞、優駿牝馬、エリザベス女王杯優勝など、中央競馬牝馬三冠達成
メジロアイガー (1983年産): 東京大障害優勝
シンボリクリエンス (1985年産): 中山大障害（春・秋）、東京障害特別（春・秋）優勝など、障害競走界のスター
メジロマスキット (1985年産): 中山大障害（秋）、東京障害特別（秋）優勝など、障害競走界のスター
メジロモントレー (1986年産): アルゼンチン共和国杯、アメリカジョッキークラブカップなど、重賞競走で活躍
レガシーワールド (1989年産): ジャパンカップ優勝
ブゼンキャンドル (1996年産): 秋華賞優勝

これらの産駒以外にも、多くのGI・重賞勝ち馬、そして数々の活躍馬を輩出しました。モガミは、その血を受け継いだ多くの馬たちが、日本の競馬界を盛り上げてきました。

血統と近親

モガミの血統背景、そして近親についても触れておきます。モガミの父は名種牡馬リファール、母系には名牝ラトロワンヌの名があります。半姉の孫には、アイリッシュセントレジャーなどを制したTurgeonがおり、全姉の孫には有馬記念、宝塚記念などを制したメジロパーマーがいます。これらの血統背景も、モガミの優れた繁殖能力の一因となっていると考えられます。

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