ラジアン

ラジアン：角度の国際単位系

ラジアン（radian、記号：rad）は、国際単位系(SI)で用いられる角度（平面角）の単位です。円周において、円の半径と同じ長さの弧を切り取る2本の半径が作る角の大きさが1ラジアンと定義されています。この角度の測り方を弧度法といい、ラジアンで表された角度を弧度法の角と呼ぶこともあります。立体角の単位であるステラジアンと対応する概念です。

ラジアンの起源と定義

ラジアンという用語自体は19世紀にジェームズ・トムソンによって導入されましたが、その概念はそれ以前から存在していました。日本の計量法では、「円の半径に等しい長さの弧の中心に対する角度」と定義されています。1ラジアンは約57.29578度（180°/π）に相当し、180度はπラジアン、360度は2πラジアンとなります。

国際量体系とラジアン

国際量体系(ISQ)では、角度は無次元量であり、「弧の長さと半径の長さの比」として定義されます。そのため、ラジアンも無次元量であるため、単位であるradはしばしば省略されます。ただし、SIや計量法では、ラジアンの記号はradのみを認めており、circularの頭文字である「c」の使用は推奨されていません。

ラジアンを用いた計算

中心角θ、半径rの扇形について、弧の長さlと面積Sは、以下の式で表されます。

弧の長さ：l = rθ
面積：S = (1/2)r²θ = (1/2)rl

これらの式から、θ = l/r = 2S/r²という関係が導き出せます。

かつてラジアンはステラジアンとともにSIの補助単位でしたが、1995年に補助単位の分類が廃止され、現在は長さの単位メートルの比(rad = m/m = 1)として組立単位に分類されています。

数値方程式では、単位を考慮した計算が重要です。例えば、θ/rad = (l/m)/(r/m) = (S/m²)/((r/m)²/2) のように、単位を明示することで、計算の正確性を高めることができます。

ラジアンの利点と誤解

ラジアンを用いる利点として、三角関数の微分公式など多くの公式が簡潔に表現できることが挙げられます。これは、ラジアンを用いることで、単位の換算を省略できるためです。特に電気工学における交流計算などでは、弧度法が広く用いられています。

しかし、三角関数の公式の簡潔さは、ラジアンの定義に由来するものであり、単位の選択によって決まるものではありません。しばしば「ラジアンを用いると公式が簡潔になる」という言説が見られますが、これは正確ではありません。

度数法を用いる場合も、三角関数を定義し、微分を行うことができます。ただし、その導関数はラジアンを用いた場合とは定数倍のずれが生じます。

ラジアンの派生単位

ラジアンには、ミリラジアン(mrad)、マイクロラジアン(μrad)などの派生単位があります。ミリラジアンは、1mrad = 1/1000 rad ≈ 0.05729578°です。ミルという単位もミリラジアンに似た単位ですが、NATOの定義では1ミル = 360°/6400 = 0.05625°と異なっており注意が必要です。

角速度の[単位]]であるラジアン毎秒]や、角加速度の[単位であるラジアン毎秒毎秒]も、ラジアンから派生した[[単位です。

Unicodeにおけるラジアン

Unicodeには、ラジアンとその派生単位を表す文字が収録されていますが、CJK互換用文字であり、使用は推奨されていません。

まとめ

ラジアンは、角度を表現する上で重要な国際単位であり、様々な分野で広く活用されています。その定義と特性を理解することで、より正確で効率的な計算を行うことができます。ラジアンに関する誤解についても理解しておくことが重要です。

もう一度検索