三國志III

『三國志III』は、1992年に光栄（現コーエーテクモゲームス）から発売された歴史シミュレーションゲームで、三国志を舞台にした人気シリーズの第3作です。前作までの国単位の支配から都市単位の支配へとゲーム性が大きく変化し、より戦略的な思考が求められるようになりました。プレイヤーは中国各地の都市を支配し、最終的に全都市の制覇を目指します。

ゲームシステム

本作では、武将に「軍師」「将軍」「武官」「文官」の4つの身分が与えられるようになり、武将の能力も知力、政治、武力、陸指、水指と細分化されました。これにより、武将の適材適所な配置が戦略の鍵となります。また、シリーズで初めて諸葛亮死後のシナリオが登場し、総勢531名（イベント武将の貂蝉を含めると532名）という膨大な数の武将が登場します。

戦略フェイズでは、「徴兵」「募兵」「訓練」「戦争準備」といった軍事コマンドや、「開発」「耕作」「治水」といった内政コマンドを駆使して都市を運営します。コマンドは実行できる期間や種類が武将の身分によって異なり、効率的な都市運営には身分制度を理解することが重要です。

戦闘フェイズでは、都市周辺での野戦と、都市内部での市街戦が展開されます。前作では合戦開始時のみだった一騎討ちが、通常のコマンドとしていつでも実行できるようになったため、武将の能力が戦闘に大きく影響します。さらに、計略には「落とし穴」「偽伝」「同士討ち」といった新たなものが加わり、戦術の幅が広がりました。

身分制度

武将の身分は「軍師」「将軍」「武官」「文官」の4種類で、それぞれ実行できるコマンドが異なります。「軍師」は知力または政治が80以上、「将軍」は武力85以上、または武力70以上かつ魅力と陸指と水指の平均値が120以上で就任できます。

特に「軍師」と「将軍」は全てのコマンドを実行できますが、1ヶ月という期間制限があります。「文官」は内政系、「武官」は軍事系のコマンドに特化しているものの、一部のコマンドは連続で6ヶ月まで実行可能です。太守が「軍師」または「将軍」でない場合、その都市は自動的に委任状態になるため、武将の能力を考慮した人事戦略が重要となります。

シナリオ

本作には、以下の6つのシナリオが収録されています。

1. 霊帝没し董卓の暴政極まる（189年）
2. 天下乱れ群雄全土に割拠す（194年）
3. 劉備雌伏し、新野に借城す（201年）
4. 臥龍中原に舞い天下を望む（208年）
5. 孫権独立し三国の鼎立成る（221年）
6. 姜維、亡き孔明の志を継ぐ（235年）

さらに、一部の機種には以下の追加シナリオが存在します。

黄巾興りて英雄青雲を抱く（184年）

これらのシナリオは、それぞれの時代背景や登場人物が異なり、異なる戦略を楽しめます。

移植版

『三國志III』は、PC-9801版を皮切りに、様々なプラットフォームに移植されました。スーパーファミコン、メガドライブ、メガCD、PCエンジンSUPER CD-ROM2、PlayStationといった家庭用ゲーム機に加え、PC/AT互換機|PC_AT互換機や携帯電話ゲームとしても展開されました。ニンテンドーDSやニンテンドー3DS向けに発売された『三國志DS』や『三國志2（3DS版）』は、本作をベースに制作されており、その影響力の大きさを物語っています。

音楽

音楽は、前作に引き続き、カシオペアの向谷実が担当しました。ゲーム内では、以下の楽曲が使用されています。

星辰
蒼天黄土
英傑決起
使者奉迎
旗鼓の間
勝利の喊声
蛟竜雌伏
現下喫緊
疾風迅雷
劣勢
落陽
彷徨
深憂
傾国の美姫
空水悠久
焔の城壁
帝
皇宮の宴
波濤の攻防
* 星辰――リプライズ

これらの楽曲は、ゲームの雰囲気を盛り上げ、プレイヤーを三国志の世界へと引き込みます。

評価

各ゲーム雑誌やユーザーからの評価も高く、特にスーパーファミコン版とメガドライブ版は高い評価を得ました。都市単位での支配や武将の身分制度など、前作からの大幅なゲームシステムの進化が評価されています。

『三國志III』は、その戦略性、奥深いゲームシステム、そして魅力的な三国志の世界観によって、多くのファンを魅了した名作と言えるでしょう。

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