上ノ国駅

上ノ国駅について

上ノ国駅（かみのくにえき）は、北海道檜山郡上ノ国町大留に存在していた旧北海道旅客鉄道（JR北海道）江差線の駅でした。1988年の松前線廃止後、この駅は北海道の最西端の地点に位置し、かつて急行「えさし」の停車駅でもありました。駅名の略号は「カニ」で、事務管理コードは▲141416です。上ノ国町の中心的な駅で、中核的な役割を果たしていました。

駅の歴史

上ノ国駅の歴史は1936年に始まります。11月10日、国有鉄道（鉄道省）の一部として江差線の湯ノ岱駅から江差駅までの区間が開通した際、一般駅として開業しました。1943年には、戦時下における重要物資の輸送需要に応じて、国営自動車上ノ国営業所が設立され、マンガン鉱石の輸送を行いました。

1954年には日本国有鉄道法の施行により、上ノ国駅は国鉄に継承され、業務形態も変更されました。その後、1960年には準急「えさし」が運行を開始し、地域の交通の重要な一部として機能しました。しかし、1965年には貿易自由化が進んだため、国内産マンガン鉱石の需要が減少し、輸送業務は段階的に廃止されていきました。

1980年に急行「えさし」が廃止され、1982年には貨物取扱いが終了しました。1986年には無人駅化し、1987年には国鉄分割民営化に伴ってJR北海道の管理下に乗り入れました。1992年には商工会と観光案内所を併設した新しい駅舎が完成しましたが、1995年には完全無人化が進み、駅機能はさらに低下しました。最終的には2014年に江差線の他の区間と共に廃止されました。

駅構造と周辺

廃止時の上ノ国駅は片面1ホーム、1線の地上駅構造で、列車の交換はできませんでした。国鉄末期には駅員が配置されていましたが、簡易委託化が進み、廃止時には無人駅となっていました。駅舎は日本家屋風の2階建てで、商工会が併設されていました。駅の裏手には、かつての鉱業所から運搬されたマンガン鉱石を扱うための貨物ホームが残されていました。

駅周辺には国道228号や道の駅上ノ国もんじゅなどが存在し、花沢館跡や洲崎館跡などの国指定史跡が点在しています。また、上ノ国町役場や教育機関も近接し、地域の生活の中で重要な位置を占めていました。

駅跡の変遷

上ノ国駅の跡地は、大留地区の複合施設として再利用されています。商工会が併設されていた旧駅舎は一時的に残っていましたが、2021年の大留地区複合施設の建設に伴い解体されました。この複合施設は2022年1月に完成し、町民ギャラリーやキッズスペース、バス待合所が備わっています。また、駅があった地域ではバス停留所「大留」が近年移設され、地域交通の新しい拠点となっています。

上ノ国駅は地元の文化や歴史を映すシンボルであり、その役割を終えた後も、地域の発展に寄与する施設として生まれ変わっています。

もう一度検索