下村陽子

下村陽子（しもむら ようこ）は、日本の作曲家、編曲家であり、特にゲーム音楽の分野で広く知られています。1967年10月19日に兵庫県で生まれ、大阪音楽大学短期大学部音楽科器楽専攻を卒業しました。

音楽への目覚めとキャリアのスタート

4歳からピアノを始めた下村陽子は、小学6年生の頃に「スイッチが入った」と自称するほど熱心に練習に励み、中学時代からは音楽漬けの毎日を送りました。高校時代には指揮を学び、ブラスバンドではフルートを担当。大学ではピアノを専攻しつつ、副専攻で作曲の基礎を築きました。

大学卒業後、カプコンに入社し、『ストリートファイターII』など数々のゲーム音楽を手がけました。しかし、コンシューマーゲーム制作からアーケードゲーム担当に移ったことや、「RPGの音楽を作りたい」という強い願望から、1993年にスクウェア（現スクウェア・エニックス）へ転職しました。スクウェアでは、念願だったファンタジーRPG『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』をはじめ、多くの作品で作曲を担当しました。

2002年末にスクウェアを退社し、フリーランスとして独立。その後も古巣であるカプコンやスクウェア・エニックス、任天堂など、様々なゲーム会社でゲーム音楽を中心に活動を続けています。

作風と人物像

下村陽子の音楽は、直感的で感情的な表現が特徴で、自身を「直情型」と評しています。その一方で、『パラサイト・イヴ』では、感情を封印したようなクールな楽曲制作にも挑戦しています。制作にはMacintoshとDigital Performerを使用しており、特に得意とするのは16ビートのバトル曲で、その独特なスタイルは「下村節」と呼ばれ親しまれています。

彼女が最も感動したゲーム音楽として挙げるのは、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の「おおぞらをとぶ」です。すぎやまこういち作曲のこの曲に、彼女は「この曲ほどのものが作れたら、その瞬間に死んでも構わない」と感じるほどの衝撃を受けたと語っています。また、尊敬する作曲家として、ゲーム音楽の分野では任天堂の近藤浩治、クラシック音楽ではラフマニノフやショパンの名前を挙げています。

主な担当作品

下村陽子は数多くのゲーム音楽を手がけており、その代表作には以下のようなものがあります。

カプコン時代
『ストリートファイターII』シリーズ
『ザ・キングオブドラゴンズ』
『パニッシャー』
『ブレス オブ ファイア 竜の戦士』（一部楽曲担当）

スクウェア時代
『ライブ・ア・ライブ』
『スーパーマリオRPG』
『パラサイト・イヴ』
『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』
『キングダム ハーツ』シリーズ

フリーランス時代
『マリオ&ルイージRPG』シリーズ
『ゼノブレイド』（一部楽曲担当）
『ファイナルファンタジーXV』
『マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル』（一部楽曲担当）
『ライブアライブ』（リメイク版）
『スーパーマリオRPG』（リメイク版）

これらの作品以外にも、多数のゲーム、アニメ、映画、舞台音楽を手がけており、その活躍の場は多岐にわたります。

その他の活動

下村陽子は、ゲーム音楽だけでなく、アニメや映画、舞台作品の音楽制作にも携わっており、その才能を様々な分野で発揮しています。また、ソロアルバムやアレンジアルバムも多数リリースしており、自身の音楽世界を深く追求しています。

彼女は、2008年に作曲家20周年、2014年に25周年を記念したアルバムをリリースしており、2014年には自身初のコンサートを開催しました。2022年にはテレビ番組『COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜』に出演するなど、メディアへの露出も増えています。

下村陽子の音楽は、そのメロディアスな旋律と、ゲームの世界観を彩る豊かな表現力で、多くのファンを魅了し続けています。

もう一度検索