世界大学ランキング

世界大学ランキングとは

世界大学ランキングは、高等教育機関を対象に、様々な指標を用いて順位付けを行う国際的なランキングです。これらのランキングは、大学の教育、研究、国際性、評判など、多岐にわたる側面を評価します。グローバル化の進展に伴い、学生や研究者の国際的な移動が活発化し、大学の質を国際的に比較するニーズが高まったことから、世界大学ランキングが注目を集めるようになりました。

大学ランキングは、雑誌、新聞、個人、政府機関、企業、大学自身、第三者機関など、さまざまな主体によって作成され、発表されています。ランキングの種類も多岐にわたり、単一の指標に基づいたものから、複数の指標を組み合わせたもの、特定の分野に特化したものなど、様々です。

世界大学ランキングの歴史

高等教育ランキングの起源は、1967年に発表された『ゴーマン・レポート』に遡るとされています。このレポートは、アメリカとカナダの大学を対象に、様々な情報源を基に評価を行いましたが、評価方法が公表されておらず、データの正確性にも疑問が呈されていました。その後、1983年に『USニューズ&ワールドレポート』がアメリカ国内の大学を対象としたランキングを発表し、高等教育ランキングが広く知られるようになりました。

2003年、中国の上海交通[[大学]]が『世界大学学術ランキング（ARWU）』を発表したことをきっかけに、世界中の大学を対象としたランキングが本格的に作られるようになりました。2004年には『THE世界[[大学ランキング]]』、2006年には『ニューズウィーク』による大学ランキングが発表され、世界的な大学ランキングブームが起こりました。現在では、20カ国以上で定期的に大学ランキングが作成されており、国境を越えたグローバルなランキングも増加しています。

グローバル化に伴い、学生の国際的な流動性が高まり、1975年の約80万人から、2010年には約580万人と大幅に増加しました。このような状況が、大学の質を国際的に比較するニーズを高め、世界大学ランキングの発展を後押ししたと考えられています。また、1999年のボローニャ宣言や2005年のユネスコのガイドラインなど、高等教育の質の保証に関する国際的な取り組みも、世界大学ランキングの重要性を高める要因となりました。

ランキングの意義と課題

正確な情報に基づいた国際的な大学ランキングは、各大学や国、学生にとって有用な情報源となり、高等教育機関間の競争を促進することで、質の向上に貢献します。しかし、ランキングの作成には、データ収集方法や評価指標の選定など、多くの課題も存在します。ランキングの質を確保するため、2004年に国際ランキング専門家グループ（IREG）が設立され、2006年には『ベルリン原則』が策定されました。

ベルリン原則

ベルリン原則は、大学ランキングの質の向上と信頼性確保のために策定された16項目の原則です。主な内容は以下の通りです。

ランキングの目的と対象を明確化する: ランキングは、特定の目的に沿って設計されるべきであり、その目的や対象者を明確にする必要があります。
高等教育機関の多様性を認識する: 研究志向の大学と、地域社会への貢献を重視する大学では、評価方法が異なる必要があります。
情報の出所を明確にする: ランキングの根拠となるデータは、その出所を明示し、透明性を確保する必要があります。
評価手法の透明性: ランキングに用いられる指標や重み付けは、明確かつ透明性の高いものであるべきです。
客観的なデータ収集: データは、監査可能で検証可能なものを使用する必要があります。

これらの原則は、ランキング作成者が倫理的な基準を守り、ランキングの質を高めるための指針となります。

主要な世界大学ランキング

以下に主要な世界大学ランキングとその特徴を説明します。

1. QS世界[[大学ランキング]]
イギリスのクアクアレリ・シモンズ社が作成するランキング。
学術的評判、雇用者の評判、教員一人当たりの学生数、論文引用数、国際性などの指標を用いる。
総合ランキングに加え、分野別、学科別ランキングも公表。

2. THE世界[[大学ランキング]]
イギリスのタイムズ・ハイアー・エデュケーションが作成するランキング。
教育、研究、論文引用、産業界からの収入、国際性などの指標を用いる。
学問分野別の研究者によるピアレビューを重視。

3. 世界大学学術ランキング（ARWU）
中国の上海交通[[大学]]が作成するランキング。
ノーベル賞やフィールズ賞受賞者の数、論文引用数、論文掲載数など、研究業績に重点を置いた指標を用いる。
分野別ランキングも公表。

4. CWTSライデン・ランキング
オランダのライデン[[大学]]が作成するランキング。
研究パフォーマンスに重点を置いたランキング。
論文数、論文あたりの引用数、分野の平均引用数などを指標とする。

5. CWUR世界大学ランキング
サウジアラビアの世界大学ランキングセンターが作成するランキング。
教育の質、卒業生の質、教授の質、論文掲載数、被引用論文数、大学の特許獲得数などを指標とする。
外国人教員や留学生の比率を評価対象としない点が特徴。

6. USNWR Best Global Universitiesランキング
アメリカのUSニューズ&ワールドレポート社が作成するランキング。
研究実績、国際性、評判などを指標とする。

7. URAP世界大学ランキング
中東工科[[大学]]が作成するランキング。
Web of Scienceのデータを基に、純粋な学術研究分野の指標のみで評価。

8. トップ100グローバル大学ランキング
アメリカの『ニューズウィーク誌』が発表。現在は更新停止。
タイムズ・ハイアー・エデュケーションと上海交通[[大学]]のランキングを基にグローバル度を評価。

9. HEEACT世界大学ランキング
台湾の高等教育評鑑中心基金會が作成するランキング。
研究生産性、研究成果、研究優位性などを指標とする。

10. トムソン・ロイター世界大学ランキング
アメリカ合衆国のトムソン・ロイター社が発表。
研究の学術論文、特許、企業家育成などを数値化して評価。

11. ENSMP世界大学ランキング
フランスのパリ国立高等鉱業学校が作成するランキング。
フォーチュン・グローバル500に掲載されているCEOの出身大学を評価。

12. Webometrics世界大学ランキング
スペインの研究機関が作成。
各大学のウェブによる情報公開を評価。

13. U-Map,U-Multirank
欧州委員会が資金提供するプロジェクト。
高等教育機関の類型化や多様性を評価する。
研究だけでなく教育の質、国際性、地域貢献なども評価。

14. SCImago Institutions Rankings
SCImago Research Groupが作成するランキング。
SCOPUSのデータベースを元に研究業績を分析。

15. ゴーマン・レポート
アメリカの大学教授ジャック・ゴーマンが作成。
* 大学の学生援護システム、管理体制、図書館の質などを評価。現在は改訂版なし。

これらのランキングは、それぞれ異なる評価基準を用いているため、ランキング結果に差異が生じることがあります。そのため、ランキングを参考にする際には、ランキングの目的や評価基準を理解し、複数のランキングを比較検討することが重要です。

ランキングの利用上の注意

世界大学ランキングは、大学の質を測る上で有用な指標の一つですが、その結果を鵜呑みにすることは避けるべきです。ランキングは、大学の一側面しか捉えておらず、大学の多様性や個性を反映していない場合もあります。大学選びの際には、ランキングだけでなく、大学の教育理念、カリキュラム、研究環境、立地、学生生活など、様々な要素を考慮することが重要です。


世界大学ランキングは、高等教育のグローバル化と大学間の競争を促進する上で重要な役割を果たしています。しかし、その結果を過度に重視することなく、大学の質を多角的に評価し、より良い高等教育の実現を目指すことが重要です。

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