中将棋

中将棋：奥深い戦略性を持つ日本の伝統将棋

中将棋は、日本の伝統的なボードゲームであり、二人で対戦する盤上遊戯です。14世紀頃に成立したと推測されており、大将棋から多くの駒を受け継いでいます。中世には公家や上流僧侶の間で流行し、16世紀には記録にも多く登場するほど盛んでした。しかし、戦国時代以降は衰退し、江戸時代には小将棋が主流となりました。明治維新後も、京阪地方を中心に細々と伝えられてきましたが、第二次世界大戦で危機に瀕します。しかし、岡崎史明氏や大山康晴氏らの尽力により、現代でも主にインターネット上でプレイされています。大山康晴氏は、幼少期から中将棋に親しんだ経験が、自身の粘り強い棋風につながったと語っています。

ルール概要

中将棋は、縦横12マスずつの盤面で行われます。自陣と敵陣が4段ずつに分けられ、持ち駒はありません。プレイヤーは交互に自分の駒を1つずつ動かします。

駒の種類は、玉将（玉）または王将（王）、金将（金）、銀将（銀）、香車（香）、飛車（飛）、角行（角）、歩兵（歩）、横行（横）、竪行（竪）、龍馬（馬）、龍王（龍）、獅子（獅）、奔王（奔）、反車（反）、盲虎（虎）、麒麟（麒）、鳳凰（鳳）、猛豹（豹）、銅将（銅）、醉象（象）、仲人（仲）の21種類。それぞれ独自の動きを持ちます。

多くの駒は、敵陣に進入したり、敵駒を取ったりすることで「成駒」になります。成駒は、元の駒よりも強力な能力を持つことが多いです。ただし、不成のまま敵陣に進入した歩兵や香車は、特殊なルールが適用されます。

中将棋の大きな特徴は、獅子の特殊ルールです。獅子は非常に強力な駒であり、安易な取り合いを防ぐため、先獅子、足、獅子かげの足、付け喰いといったルールが適用されます。これらのルールは、ゲームの戦略に大きく影響を与えます。

駒の動かし方

駒の動かし方は、各駒によって異なります。基本的には、その駒の利き（動ける範囲）にある相手の駒を取ることができます。取った駒は盤上から除去され、持ち駒として利用することはできません。

獅子は、隣接する相手の獅子であれば自由に取れますが、離れた相手の獅子を取る場合は、その獅子の状態（足があるかなど）によってルールが異なります。

ゲームの進め方と勝敗

ゲームは、先手と後手が交互に駒を動かし、相手の玉将（または王将）を詰ませることで勝利となります。玉将を取った場合も勝利ですが、反則勝ちとはなりません。

駒が減少し、駒枯れ状態になった場合、玉将と王将、および成金が1枚ずつ残った場合は、成金を持っている方が勝ちとなります。それ以外の場合は、合意によって引き分けとなります。

太子がいる場合、太子と玉将（または王将）の両方を詰ませる必要があります。

本将棋との違い

中将棋と本将棋にはいくつかの大きな違いがあります。

取った駒は持ち駒にならない。
玉将（または王将）を取っても反則にならない。
太子が存在する場合、太子と玉将（または王将）の両方を詰めて初めて勝利となる。
不成で敵陣に進入した歩兵や香車もルール上は許容される（ただし実質的には死に駒となる）。

ローカルルール

様々なローカルルールが存在します。例えば、先獅子の適用条件を限定したり、199手連続して駒を取らず、駒を成らなかった場合を引き分けにしたりするルールなどです。

ハンディキャップ

中将棋では、ハンディキャップとして「3枚獅子」「2枚獅子」「2枚王」といった方法があります。これは、駒の配置を変更することで、実力差を調整する方法です。

まとめ

中将棋は、本将棋とは異なる独自のルールと奥深い戦略性を持つ、魅力的なボードゲームです。複雑なルールや特殊な駒の動き、そして獅子の特殊ルールは、プレイヤーに高度な戦略的思考と判断力を要求します。現代ではインターネットを通じて世界中の人々と対戦することができ、その人気は衰えることを知りません。

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