仙台市八木山動物公園

仙台市八木山動物公園

仙台市八木山動物公園は、宮城県仙台市太白区にある仙台市立の動物園です。1965年（昭和40年）に開園し、仙台市都心部を見下ろす八木山に位置しています。向かい側には遊園地の八木山ベニーランドがあり、近隣には仙台城址などがある青葉山も控えています。2018年（平成30年）時点での飼育動物は130種581点に及びます。

2020年4月からは、仙台市に本店を置く百貨店の藤崎が命名権を取得し、「八木山動物公園 フジサキの杜」の愛称が使用されています。

歴史

八木山動物公園が開園する以前、仙台市には「仙台市動物園」と「子供動物園（三居沢動物園）」がありました。

仙台市動物園

1936年（昭和11年）に開園した仙台市動物園は、東北地方初の動物園であり、日本で11番目に開園した動物園でした。広瀬川河畔の花壇地区に位置し、園の面積は2万6881平方メートルでした。開園にあたり、東京浅草の花やしきからゾウやライオン、トラなど35種約100点の動物を購入し、さらに各地から87種約200点の動物を買い足しました。市民からの寄付も受け、ライオンやクマ、オットセイなどが加わりました。上野動物園の園長であった古賀忠道の指導を受け、開園当初から多くの来場者を集めました。運営は仙台市電気水道事業部が行っており、市電の集客策としての役割も担っていました。

しかし、太平洋戦争が始まると、空襲の危険性が高まり、1944年（昭和19年）に動物園は閉鎖されることになりました。猛獣は銃殺され、園の敷地は食料増産のために利用されました。終戦後、動物園は再建されることはありませんでした。

子供動物園

1957年（昭和32年）には、三居沢に子供動物園が開園しました。シカ、ヒツジ、ヤギなどの動物が飼育され、レオという名前のライオンが人気を集めました。子供向けの遊具も設置されており、家族連れに親しまれていました。しかし、動物の数が増えるにつれて手狭になり、新たな動物園の建設が望まれるようになりました。

八木山動物公園の誕生

1962年（昭和37年）、仙台市は再び古賀忠道を招いて新設動物園に関する調査を依頼しました。その結果、八木山が新動物園の最適地と判断され、1965年（昭和40年）10月25日に仙台市八木山動物公園が開園しました。「自然を出来るだけ残す」「無柵放養式」の二つの方針が掲げられ、アジア、アメリカ、アフリカ、オーストラリアの4つの動物区が計画されました。開園当初は90種350点の動物が飼育され、多くの来場者で賑わいました。その後も、サル山やアフリカ生態園などが整備され、現在に至っています。

八木山球場とベーブ・ルース

現在のアフリカ園の場所には、かつて八木山球場がありました。1934年（昭和9年）には日米野球が開催され、ベーブ・ルースが来日初ホームランを記録しました。外野スタンドがあった場所には、ベーブ・ルースの銅像が建っています。

年表

1936年（昭和11年）4月1日：仙台市動物園が開園
1944年（昭和19年）9月1日：仙台市動物園が閉鎖
1945年（昭和20年）7月10日：仙台[[空襲]]で仙台市動物園が焼失、廃止
1957年（昭和32年）10月25日：三居沢に子供動物園が開園
1965年（昭和40年）10月15日：仙台市八木山動物公園として新築移転
1967年（昭和42年）4月：サル山、フライングケージが完成
1968年（昭和43年）：インドジャッカルの国内初の繁殖に成功
1969年（昭和44年）10月：アフリカ生態園が完成
1971年（昭和46年）：国内で初めてアフリカスイギュウ、カナダガンの繁殖に成功
1980年（昭和55年）：国内で初めてマゼランガンの繁殖に成功
1981年（昭和56年）：国内で初めてフクロウの繁殖に成功
1982年（昭和57年）：国内で初めてハワイガンの繁殖に成功
1983年（昭和58年）11月：国際保護鳥シジュウカラガンの飼育開始
1983年（昭和58年）：国内で初めてアカダイショウの繁殖に成功
1984年（昭和59年）：国内で初めてコロンビアクジャクガメの繁殖に成功
1985年（昭和60年）10月：第1回シジュウカラガン放鳥
1985年（昭和60年）：国内で初めてチョウゲンボウの繁殖に成功
1986年（昭和61年）：国内で初めてトウホクアカシカの繁殖に成功
1988年（昭和63年）：国内で初めてオオタカの繁殖に成功
1989年（平成元年）：国内で初めてニホンイヌワシ、ノスリの繁殖に成功
1990年（平成2年）8月：アフリカゾウ来園
1990年（平成2年）：国内で初めてトッケイヤモリの繁殖に成功
1992年（平成4年）3月：新猛禽舎が完成
1992年（平成4年）6月：動物病院が完成
1992年（平成4年）：国内で初めてチャイロバシリスクの繁殖に成功
1999年（平成11年）6月：アフリカ平原放飼場をリニューアル
2002年（平成14年）7月：猛獣舎リニューアル
2005年（平成17年）3月：カメハウスが完成
2008年（平成20年）5月：マダガスカル国立チンバザザ動植物公園との協力協定締結
2010年（平成22年）3月：南門出入口を兼ねたビジターセンターがオープン
2011年（平成23年）3月11日：東日本大震災が発生
2011年（平成23年）3月12日：震災の影響により一時閉園
2011年（平成23年）4月23日：再開園。新動物病院完成
2015年（平成27年）：正門を東門、南門を西門に改称
2015年（平成27年）12月6日：仙台市地下鉄東西線開業、八木山動物公園駅と直結
2016年（平成28年）：チンパンジーのチャチャが脱走するが捕獲される
2017年（平成29年）4月1日：セルコホームと3年間の命名権契約を締結。愛称が「セルコホーム　ズーパラダイス八木山」になる
2019年（令和元年）6月3日：セルコホームとの命名権契約が解除
2020年（令和2年）2月8日：藤崎が新たな命名権の優先交渉者に決定
2020年（令和2年）4月1日：藤崎と3年間の命名権契約を締結。愛称が「八木山動物公園 フジサキの杜」になる
2021年（令和3年）1月24日：ホッキョクグマ「ナナ」が肝臓がんで死去
2024年（令和6年）11月4日：は虫類館が閉館

入園者数

1960年度の八木山への移転により、入園者数は大幅に増加しました。1978年度からは6歳未満の入園者も計上されるようになり、統計的に入園者数が増加しました。1990年度からは月曜休園が始まり、入園者数は減少傾向にあります。2002年度の「どこでもパスポート」、2009年度の「年間パスポート」の導入により一時的に増加しましたが、その後は伸び悩んでいます。

放送番組

八木山ZooKAN（ミヤギテレビ『OH!バンデス』）
こんにちは八木山動物公園（エフエムたいはく『ほっとすて〜しょん』）
八木山動物公園タイム（J:COM 仙台キャベツ）

チンパンジーの脱走事件

2016年4月14日、オスのチンパンジー「チャチャ」が動物園から脱走し、市内に逃走しました。警察が出動し、周辺住民に外出規制が敷かれる事態となりました。その後、電柱を登っているところを発見され、麻酔銃によって捕獲されました。この事件を教訓に、チンパンジーの展示施設は大幅に改修されました。

アクセス

鉄道：仙台市地下鉄東西線・八木山動物公園駅5階と直結
バス：「八木山動物公園駅」「八木山動物公園東門前」下車
車：一般車両は100円/30分（最初の30分まで無料、上限500円）、バスは1,000円/回


仙台市八木山動物公園は、動物との触れ合いを通じて、子供から大人まで幅広い世代が楽しめる場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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