伊丹氏

伊丹氏の概要

伊丹氏は、日本における歴史的な武士の一族であり、一般的には藤姓伊丹氏として知られています。この姓は藤原利仁に起源を有するもので、系図においては利仁流加藤氏の流れを受け継いでいます。始祖とされる人物は伊丹親元ですが、その正確な情報は不明な部分もあります。

この氏族の名前が文書上に初めて現れたのは、鎌倉時代末期や南北朝時代にあたるもので、1230年代以降、各種文書に頻繁に見られるようになります。最初の記録は延慶2年（1309年）の伊丹三郎左衛門尉親盛に関するもので、この時彼は摂津国の守護代として活動していたとされています。更に、親盛は六波羅探題の命令を受けて兵庫関の調査を行っていました。『太平記』にも彼の父、伊丹四郎左衛門尉親資の名が登場します。

室町時代には、伊丹氏は細川氏や畠山氏の被官としての活動が確認されており、伊丹城の城主としても知られていました。戦国時代に入ると、伊丹氏は細川氏や今川氏、武田氏、さらには徳川氏など、様々な勢力に仕官し、近畿や中部地方での影響力を強めていきました。

特に有名な本家である伊丹氏は、南北朝時代から伊丹城を拠点に現在の伊丹市を治め、室町時代には摂津の重要な国人として天皇家に仕えました。応仁の乱においては、東軍に属して戦いましたが、戦国時代には家系が大きく変わる節目を迎えます。細川高国に味方した伊丹元扶と伊丹国扶の親子二人が戦死する事件が発生し、伊丹親興は畠山氏との戦いに参加します。

永禄11年（1568年）、織田信長が京都に入ると、親興は信長に恭順の意を示し、和田惟政や池田勝正らと共に摂津の三守護に任ぜられることとなります。これにより、伊丹氏は摂津における影響力を持った国人であることが示されました。但し、元亀2年（1571年）以降、信長と義昭が対立を始め、親興は義昭に従ったため、反信長の立場を取ります。その結果、天正2年（1574年）11月15日には、信長の配下の荒木村重によって伊丹城が攻め落とされ、親興は自ら命を絶つことになります。

親興の子、伊丹忠親は、本能寺の変後に羽柴秀吉に仕官し、秀吉の死亡後は黒田長政に従いましたが、関ヶ原の戦いで戦死しました。忠親には子があり、その一人、正親、氏親が文献に登場します。忠親の親族、加藤重徳の子供たちも長政の臣として貢献し、様々な地位に就きました。元扶のもう一人の子、伊丹康直の系統は、江戸時代において徳美藩1万2,000石の大名となりましたが、最終的に元禄11年（1698年）に伊丹勝守が自死したことで、家系は断絶しました。

細川氏系伊丹氏

後世の文献では、伊丹氏は伊丹大隈守雅扶の子、伊丹親頼から始まるとする説も存在します。親頼は細川の一族出身であり、名も変わることになったようです。親頼の子、三河守雅永は九曜紋を使用したとされますが、細川氏の使用開始は江戸時代中期以降のものであり、少し混同が見られます。雅永の子孫は伊丹勝守に全うされ、断絶の道を歩みました。これによって、伊丹氏の歴史には多くの変遷があったことが分かります。

もう一度検索