十津川警部シリーズ

十津川警部シリーズ

西村京太郎による推理小説シリーズ『十津川警部シリーズ』は、警視庁捜査一課の警部、十津川省三を主人公とした作品群です。彼は、相棒である刑事の亀井定雄と共に、様々な難事件に立ち向かい、解決へと導いていきます。1973年に「消えたタンカー」で初登場し、1978年の「寝台特急殺人事件」で広く知られるようになりました。このシリーズは、2時間ドラマの原作としても高い人気を誇り、多くのテレビ局がドラマシリーズや単発作品を制作・放送しています。

ストーリーの特徴

「寝台特急殺人事件」以降、JRや私鉄など、日本各地を走る列車を舞台にした作品が多く発表されています。これらの作品は、テレビドラマ化される際にも頻繁に採用されており、視聴者におなじみとなっています。しかし、原作の小説では、時事問題や日本史、オカルトといった、より幅広いジャンルを扱っているのが特徴です。

物語には、列車内での殺人や車両の爆破、脱線、転覆といった、比較的過激な描写が含まれていることがあります。また、刑事の殉職といったショッキングな展開も見られ、スリリングなサスペンスとして、読者や視聴者を楽しませています。

主要な登場人物

十津川省三

警視庁刑事部捜査一課の警部であり、本シリーズの主人公です。彼は、部下である亀井刑事をパートナーとして、数々の事件を解決に導いています。いわゆる「十津川班」と呼ばれる、7～10人程度で構成されたチームのリーダーを務めています。私生活では、妻である直子と二人暮らしですが、32歳の時に前妻を亡くしてから40歳まで独身でした。

亀井定雄

警視庁刑事部捜査一課の警部補（作品によっては巡査部長）で、十津川の部下であり、良き相棒です。高校卒業後に警視庁に入庁した叩き上げの刑事です。45歳で、小学生の息子がいます。外見は、白髪交じりの肥満体として描写されることが多いですが、後年の作品では小柄で細身という設定もあります。十津川や本多、後輩からは一貫して「カメさん」と呼ばれています。

十津川の上司

三上（みかみ）/ 三浦（みうら）

警視庁刑事部長で、年齢は54歳。大阪府出身で、T大を卒業したキャリア組です。過去には松江警察署の署長や警視庁捜査一課長を務め、部長に昇進しました。事件が発生すると本部長となり、会議にも積極的に参加します。普段は十津川らを褒めることは少ないですが、機嫌が良い時には褒めることもあります。十津川を「警視庁で最も優秀な刑事」と高く評価しています。体格はスマートで背が高く、高級官僚のような印象ですが、後年の作品では小柄な体格として描写されることもあります。

性格は、面子を重んじ、感情がすぐに表情に出るタイプです。慎重居士ですが、容疑者をクロと断定すると、逮捕を急かせるような一面もあります。また、マスコミに弱く、臆病になってしまうこともあります。一方で、実直で実務的な一面も持ち合わせており、上からの圧力に屈しない姿勢は、十津川にも認められています。

本多時孝（ほんだ ときたか）

警視庁捜査一課長で、年齢は50歳です。既婚者で、子供が二人います。十津川が結婚する際には仲人を務めました。三上とは対照的に温厚な性格で、部下の中では十津川を最も信頼しています。十津川が私的な理由で行動することを黙認することがあります。三上部長ほどではありませんが、マスコミの目を気にしています。しかし、十津川と同様に隠蔽を嫌う高潔な精神の持ち主です。十津川と三上が対立した際には、仲裁役を務めることもあります。

十津川班の刑事たち

西本明（にしもと あきら）

警視庁捜査一課所属で、十津川、亀井に次いで登場機会が多い刑事です。主に日下とコンビを組んでいます。年齢は27歳で、頑丈な体格で頼りになると評価されています。趣味は旅行で、高所恐怖症のため飛行機が苦手です。鉄道には詳しく、子供の頃は先頭車で景色を見るのが好きでした。また、旅行で訪れた場所の金融機関で通帳を作り、訪れるたびに1000円ずつ預金するというユニークな趣味も持っています。

日下淳一（くさか じゅんいち）

警視庁捜査一課所属で、西本とコンビを組んでいます。年齢は28歳です。読書が好きで、大学時代には同人サークルに参加していました。西本以上に熱血で向こう見ずな一面があり、事件に巻き込まれることも多いです。ドイツ語とフランス語を堪能で、十津川と海外捜査に出かけたこともあります。

三田村功（みたむら いさお）

警視庁捜査一課所属で、早苗や清水とコンビを組んでいます。大柄な刑事で、直感力が優れています。血気盛んでケンカっ早いですが、任務に失敗することも多く、言い訳をしようとする傾向があります。

北条早苗（ほうじょう さなえ）

警視庁捜査一課所属で、誰からも好かれる美人の女刑事です。現在は三田村とコンビを組んでいます。射撃が得意で、射撃訓練では高得点を取っています。

清水新一（しみず しんいち）

警視庁捜査一課所属で、早苗や三田村とコンビを組んでいます。北海道出身で、見合い結婚をしたものの、新婚間もなく殺されてしまいました。その後、別の作品では殉職しています。

田中大輔（たなか だいすけ）

警視庁捜査一課所属で、小田原出身と長浜出身の2人の田中刑事がいます。巨漢で、ラグビーをやっていました。

片山明（かたやま あきら）

警視庁捜査一課所属で、福井県小浜市出身です。田中とは大学時代からラグビーでコンビを組んでいました。

その他の登場人物

十津川直子（とつがわ なおこ）

十津川省三の妻で、インテリアデザイナーです。語学が堪能で、莫大な財産を相続しています。

亀井公子（かめい きみこ）

亀井定雄の妻で、山形県出身です。

亀井健一（かめい けんいち）

亀井定雄の長男で、小学生の鉄道ファンです。

田島（たじま）/ 田口（たぐち）

中央新聞記者で、十津川の大学時代の同窓生であり、良き協力者です。

橋本豊（はしもと ゆたか）

私立探偵で、元警視庁捜査一課所属で、十津川の部下でした。

青木亜木子（あおき あきこ）

雑誌「旅窓」の記者で、推理力と度胸がある人物です。

原口夕子（はらぐち ゆうこ）

十津川の初恋の人で、高山で旅館を経営する女将です。

テレビドラマ化

「十津川警部シリーズ」は、数々のテレビドラマが制作されており、2時間サスペンスの定番となっています。特に「土曜ワイド劇場」でのシリーズは、2時間サスペンス史上最長寿を誇っています。三橋達也、渡瀬恒彦など、多くの俳優が十津川警部を演じ、その人気を支えてきました。各局で様々なシリーズが制作されており、異なるキャストや設定で、それぞれの魅力を放っています。

漫画化

宗美智子の作画による漫画『十津川警部の事件簿』が「サスペリアミステリー」で連載されていました。他にも、多くの作家によって執筆され、コンビニコミックスとして販売されています。

まとめ

「十津川警部シリーズ」は、推理小説ファンだけでなく、多くの人々を魅了し続けている人気シリーズです。鉄道を舞台にした緻密なトリックや、魅力的なキャラクターたちが織りなすドラマは、今後も多くの読者や視聴者を楽しませてくれることでしょう。

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