国際線

国際線

概要

国際線（英語: International flight）とは、広義には複数の国家間に跨がる航空路線の総称です。これは単に地理的に国境を越えるだけでなく、航空機の出発地と到着地がそれぞれ異なる国にある路線を指します。この性質上、国際線を運航する際には、利用客に対して出入国管理（パスポートコントロール）、税関検査、検疫といった、いわゆるCIQ（Customs, Immigration & Quarantine）と呼ばれる一連の手続きが必ず課されます。国際線は航空輸送における重要な分類であり、一国内のみを結ぶ国内線とは対義語の関係にあります。この国際移動におけるCIQの概念は、船舶を用いた国際航路や、鉄道による国際列車、さらには道路を越える国際バスなど、他の交通手段における国際移動にも共通して存在します。

発着地点が異なる国家に位置するという特性から、国際線を移動する人々は、国境を越える際に必要なCIQ手続きを受けなければなりません。これは、列車や船舶、あるいは徒歩で国境を越える場合と同様の原則です。しかし、航空機による国際移動の場合、万が一乗客が入国を拒否された際に、その送還にかかるコストが陸路などの他の交通手段に比べて高額になる傾向があります。そのため、多くの航空会社や関係機関では、搭乗券の購入段階や空港でのチェックイン時などにパスポートの有効性を確認するなど、入国拒否といったトラブルを未然に防ぐための事前確認措置を講じています。

歴史的に見ると、パスポートの制度は海運や陸路での国境移動から発展しましたが、現代において国際間の人や物の移動の大部分を航空機が担っていることから、国際的な移動手続きに関する取り決めや規格策定は、国際民間航空機関（ICAO）のような航空分野の国際機関が主導することが多くなっています。これにより、国際移動に関する手続き全体が、航空輸送を前提とした形で整備される傾向が見られます。

歴史

航空技術が発展途上であった黎明期には、航空機が飛行できる距離や時間が限られていたため、運航される路線は必然的に各国国内の短距離路線、すなわち国内線が主でした。しかし、航空機の性能向上に伴い、国境を越える飛行が可能となると、国際線の歴史が始まりました。

記録に残る最初期の国際航空路線の一つとして、1917年にアメリカの航空会社であるチョークス・オーシャン・エアウェイズが運航を開始した、アメリカ合衆国フロリダ州と当時イギリス領であったバハマを結ぶ路線が挙げられます。また、ヨーロッパでも、イギリスのインペリアル・エアウェイズが、ロンドンのハウンズロー空港とフランスのル・ブルジェ空港の間で国際定期航空路線の運航を始めるなど、主要国間で国際線網の整備が進みました。

日本においても、第二次世界大戦前の時期に、日本航空輸送やその後の大日本航空といった航空会社が、現在のタイにあたるシャム王国のバンコクや、中華民国の南京市などを結ぶ国際航空路線を開設し、終戦までこれらの路線を維持運航していました。

第二次世界大戦の終結後、世界の空運における秩序再編が進み、国際的な航空関連組織が次々に設立されました。特に、国際民間航空機関（ICAO）が設立され、国際航空に関する条約や規則の策定、標準化を推進したこと、そして国際航空運送協会（IATA）のような航空会社の業界団体が運航上の課題解決や協力体制の構築に貢献したことにより、国境を越えた航空路線の発展は飛躍的に進展しました。これにより、世界各地が空路で結ばれる現代の国際航空ネットワークが構築されていくことになります。

関連項目

• - [国際列車]]
• - 国内線
• - [[国際民間航空機関]
• - [国際航空運送協会]

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