大仏

大仏とは

大仏とは、文字通り大きな仏像を指す通称です。アジアの仏教圏では、古くから天然の岩壁を彫刻した磨崖仏などが造られてきました。日本では、奈良時代に聖武天皇が国家の安寧と民の幸福を祈願して東大寺に奈良の大仏（東大寺大仏）を建立したのが始まりとされています。その後も、大きな功徳を求める人々によって各地に大仏が造られてきました。

大仏の定義

釈迦の背丈が1丈6尺（約4.85メートル）あったという伝説から、その高さで造られた仏像を丈六仏（じょうろくぶつ）といいます。丈六仏は、背丈を基準とするため、坐像の場合は約半分の大きさになります。一般的には、丈六仏よりも大きい仏像を大仏と呼びますが、その定義よりも小さくても大仏と称されるものもあります。

大仏を安置する仏堂は、大仏殿（だいぶつでん）と呼ばれます。特に有名なのは、東大寺の大仏殿（金堂）です。

主な大仏

日本

日本には、数多くの大仏が存在します。その中でも特に有名なのが、以下の大仏です。

奈良の大仏（東大寺大仏）：奈良県奈良市にある東大寺の本尊。盧舎那仏（るしゃなぶつ）を像った大仏で、日本を代表する大仏として知られています。
鎌倉大仏：神奈川県鎌倉市にある高徳院の本尊。阿弥陀如来を像った大仏で、青銅製の坐像としては日本最大級の大きさを誇ります。

日本三大仏

日本三大仏とは、日本にある大仏の中から代表的な3尊を選んだものです。一般的には、奈良の大仏と鎌倉大仏の2尊は必ず選ばれます。残りの1尊については、時代によって諸説あり、以下のような大仏が挙げられます。

高岡大仏：富山県高岡市の大佛寺にある大仏。青銅製の阿弥陀如来像です。
岐阜大仏：岐阜県岐阜市の正法寺にある大仏。釈迦如来を像った大仏で、乾漆像としては日本最大級の大きさを誇ります。
兵庫大仏：兵庫県神戸市の能福寺にある大仏。阿弥陀如来を像った大仏で、阪神淡路大震災で倒壊した初代のものを再建したものです。

海外

中国や韓国、タイなど、アジア各地にも数多くの大仏が存在します。代表的な大仏としては、以下のものがあります。

中国
雲崗石窟の曇曜五窟（うんこうせっくつのどんようごくつ）：中国山西省にある石窟寺院群。
龍門石窟の奉先寺大仏（りゅうもんせっくつのほうせんじだいぶつ）：中国河南省にある石窟寺院群。
楽山大仏（らくざんだいぶつ）：中国四川省にある磨崖仏。
魯山大仏（ろざんだいぶつ）：中国河南省にある巨大な仏像。
天壇大仏（てんだんだいぶつ）：香港にある巨大な仏像。
霊山大仏（りょうざんだいぶつ）：中国江蘇省にある巨大な仏像。
南山大仏（なんざんだいぶつ）：中国海南省にある巨大な仏像。
東林大仏（とうりんだいぶつ）：中国江西省にある巨大な仏像。
西山大仏（せいざんだいぶつ）：中国雲南省にある巨大な仏像。
韓国
法住寺大仏（ホップジュサだいぶつ）：韓国忠清北道にある仏像。
束草の大仏（ソクチョだいぶつ）：韓国江原道にある仏像。
アフガニスタン
バーミヤンの大仏：アフガニスタン中部バーミヤン渓谷にあった磨崖仏。2001年にタリバンによって破壊されました。
タイ
ワット・プラチェートゥポンウィモンマンカラーラームの涅槃仏：タイのバンコクにある寺院にある涅槃仏。
ワット・インタラウィハーンの大仏：タイのバンコクにある寺院にある立像。
台湾
八卦山大仏（はっけさんだいぶつ）：台湾彰化県にある大仏。
スリランカ
津波本願寺佛舎の大仏：スリランカにある大仏。
ミャンマー
レイチュンセッチャー大仏：ミャンマーにある巨大な仏像。
ブラジル
イビラス大仏：ブラジル・エスピリトサント州イビラスにある曹洞宗寺院に建立された大仏。高さ35メートル、重量350トンの鉄筋コンクリート製。

関連項目

巨大仏：大仏よりもさらに大きな仏像を指すことがあります。
* 一搩手半（いっちょうしゅはん）：仏像の大きさを表す単位の一つで、仏像の座高を指します。

このように、大仏は、宗教的な意味合いだけでなく、文化的な価値も高く、世界各地で多くの人々に親しまれています。

もう一度検索