奈良県立美術館

奈良県立美術館：近世から現代まで、日本の美を堪能できる空間

奈良県奈良市に位置する奈良県立美術館は、1973年の開館以来、日本の美術史を彩る数々の作品を展示・収蔵し、多くの人々に感動と学びの機会を提供しています。

その歴史は、風俗史研究家でもあった日本画家、吉川観方氏による近世日本画、浮世絵、美術工芸品のコレクションの寄贈から始まります。この貴重なコレクションを核に、その後も近世日本絵画や浮世絵を収集した由良哲次氏のコレクション、奈良県出身の工芸家、富本憲吉氏作品、そして戦後現代美術のコレクターであった大橋嘉一氏のコレクションなどが加わり、現在では4,100点を超える充実した所蔵品を誇ります。

多彩な収蔵品：時代と技法を超えた日本の美

美術館の収蔵品は、その多様性と質の高さが際立ちます。室町時代の水墨画巨匠、雪舟の伝承作品「秋冬山水図」から始まり、18世紀の絵師、曾我蕭白のダイナミックな筆致が光る「美人図」、近代日本画壇を代表する竹内栖鳳の代表作「保津川」、そして上村松園、平山郁夫といった20世紀を代表する巨匠たちの作品まで、時代を超えた名画が揃います。

浮世絵においては、東洲斎写楽の代表作「松本米三郎のしのぶ」、歌川広重の「名所江戸百景」や「魚づくし」など、江戸時代の庶民文化を鮮やかに伝える作品が鑑賞できます。さらに、西川祐信の美人画など、多様な表現技法の作品も収蔵されています。

書跡としては、豊臣秀吉の朱印状など、歴史的にも貴重な資料が保管されています。また、富本憲吉の陶芸作品は、その精緻な技法と洗練されたデザインで高く評価されています。白磁八角壺、磁器色絵円に花模様大角飾筥、磁器赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺など、代表作の数々が美術館を彩っています。

展示室から図書室まで：充実した施設とアクセス

美術館は、9つの展示室を備え、時代やジャンルを問わず、多様な美術作品を鑑賞することができます。そのほかにも、会議室、講義室、図書室、ブックショップ、休憩コーナーなど、来館者が快適に過ごせるための施設が整っています。

アクセスも良好で、近鉄奈良線近鉄奈良駅から徒歩5分、市内循環バスでもアクセス可能です。奈良国立博物館、興福寺、東大寺、猿沢池、奈良公園といった観光名所にも近く、奈良観光の拠点としても最適な場所です。

建築概要と周辺環境

美術館の建物は、建築家・片山光生氏の設計によるSRC造、地上2階・地下1階建てです。敷地面積は5,780㎡、延床面積は5,451㎡。近代的なデザインと周辺の自然環境が調和した、洗練された空間です。周辺には、歴史的建造物や自然豊かなスポットが多くあり、美術館を訪れた際には、これらの場所も合わせて巡ってみることをお勧めします。

奈良県立美術館は、日本の美術を深く理解し、楽しむための最適な場所です。ぜひ、足を運んで、日本の美の深淵に触れてみてください。

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