定恵

定恵（じょうえ / じょうけい）

定恵（じょうえ / じょうけい、旧字体：定惠、643年 - 666年）は、飛鳥時代に活躍した学僧です。父は中臣鎌足（後の藤原鎌足）で、弟には藤原不比等がいます。出家前の俗名は中臣真人（なかとみ の まひと）といいました。

唐への留学

653年、定恵は遣唐使の一員として唐へ留学しました。長安にある慧日道場に住み、玄奘三蔵の弟子である神泰法師に師事し、仏教経典だけでなく、広く学問を修めたと伝えられています。

帰国と死

665年、定恵は百済を経由して日本に帰国しました。唐からの使節、劉徳高率いる250名余りの大使節団と共に帰国したとされていますが、帰国した年の12月に大原（現在の奈良県高市郡明日香村小原）で亡くなりました。彼の死を悼み、高句麗の僧・道賢が誄（しのびごと）を作っています。

出家について

定恵の出家については、いくつかの議論があります。

中臣氏からの出家の特異性：中臣氏は神祇に関わる氏族であり、仏教伝来時には強硬な反対者を出した家柄でした。そのため、長男を出家させることは異例であるという見解があります。しかし、蘇我氏にも長子が出家した例があり、中臣氏においても定恵以前に僧侶が出ていたことから、必ずしも特異なことではなかったという反論もあります。

出生の伝説：定恵の出生に関する伝説も、出家の理由として挙げられています。『多武峯略記』には、孝徳天皇が寵妃である車持夫人を鎌足に下賜した際、夫人はすでに定恵を懐妊していたという話が記されています。

定恵は短命でしたが、唐での留学経験を通じて日本仏教に大きな影響を与えた人物として評価されています。

関連事項

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* 桑実寺縁起絵巻

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