小林古径

小林古径（こばやしこけい）

小林古径（1883年2月11日 - 1957年4月3日）は、日本の著名な日本画家であり、特に大正から昭和にかけて活躍しました。本名は茂です。彼は新潟県の高田土橋町で生まれ、早くに家族を失い、1899年に上京してから、梶田半古のもとで日本画を学び始めました。

経歴

古径は、1900年代初頭に日本画の道を歩む決意をし、1914年に第1回再興日本美術院展で入選し、同年には同人に推挙されました。その後は、1922年に日本美術院の留学生として前田青邨と共に渡欧し、1923年には大英博物館で中国・東晋の名作「女史箴図巻」の模写を行いました。この作品を通じて、彼は東洋絵画の命である線描の技術をさらに高めていきました。

彼の代表作の一つである「髪」は、この技術の集大成と言える作品で、線描の繊細さと色彩の力強さが見事に融合しています。この作品は、日本で初めて裸体画で切手のデザインにもなりました。

古径は、1935年に帝国美術院に選出されましたが、翌年に行われた改革案に反対したため辞任しました。その後も1965年に改組された帝国芸術院の会員として活動を続け、新文展の審査員などの重要な役割を果たしました。

1944年には東京美術学校の教授に就任し、同年、彼は帝室技芸員としても任命されました。1951年には文化勲章を受章し、1957年には死去しました。没後には従三位の叙位と勲二等旭日重光章が授与されました。

さらに、古径の住居である小林古径邸は東京都大田区南馬込に建てられ、その後新潟県上越市の高田城址公園内に移築・復原されて国の登録有形文化財となっています。彼はこの家に特別な思い入れを持ち、「私が好きになるような家を建ててください」と一切の注文をつけずに建設を依頼し、完成後もすぐには移住せず、その景観を楽しんでいたエピソードが残っています。

古径は、絵画における写生の重要性を深く理解しており、自宅の庭で育てた植物や生き物を積極的に写生していました。これにより、彼の作品には自然の美しさや生命感が色濃く反映されています。

代表作

彼の作品には多くの素晴らしいものがありますが、以下にそのいくつかをピックアップします。

• - 「闘草」（1907）: 山種美術館蔵
• - 「加賀鳶」（1909）: 東京国立近代美術館蔵
• - 「極楽井」（1912）: 東京国立近代美術館蔵
• - 「異端」（1914）: 東京国立博物館蔵
• - 「髪」（1931）: 永青文庫蔵（熊本県立美術館寄託）
• - 「孔雀」（1934）: 永青文庫蔵
• - 「楊貴妃」（1951）: 足立美術館蔵
• - 「牡丹」（1939）: メナード美術館蔵

古径の画業は日本美術の発展に大きな足跡を残しており、彼の作品は今なお多くの人々に感動を与えています。

もう一度検索