帰化人

帰化人（きかじん）

帰化人とは、主に古代から奈良時代にかけて、海外、特にユーラシア大陸から日本列島へと移住した人々を指します。日本書紀によると、帰化した者が再び帰国することもあったと記されています。また、帰化人は元の国籍を離脱し、日本国籍を取得する者を意味します。近代以降の帰化者については、行政手続きにおいて正式に「帰化者」と呼ばれることが一般的です。

概要

近代の文脈での帰化は、外国人が日本国籍を手に入れる法律行為を指しますが、日本史において「帰化人」の概念は平安時代初頭までの人々を指すのが一般的です。日本語の「帰化人」という言葉は、古代の国家統一以降に渡来した人々の子孫を意味します。この「帰化」という語は、中国の古典思想から派生したもので、日本においても中国の慣例を踏襲して用いられてきました。特に王化を強調する意図は見られません。

歴史学者の藤間生大は、「帰化」という用語が長きにわたり、日本国家に朝貢や奴隷化を行った人々を指すために使われていたと述べています。しかし、実際には帰化者と渡来人の区別が必要です。帰化は「国家」が存在するからこそ成り立ち、渡来人という概念は国家が無くても成り立つものです。したがって、日本書紀は帰化という表現を用いていますが、古事記や風土記では「渡来」という表現が使われています。

歴史学者の上田正昭は、帰化人に対する偏見や差別的な見方が依然として存在することを指摘しています。また、彼はこのような認識が古代の支配層や近代日本の為政者による民族的偏見から生じたものであると論じています。金達寿も、古代の帰化人と現代の在日朝鮮人とは無関係であることを主張し、帰化人を在日朝鮮人に結びつける考え方を批判しています。

出自と構成

帰化人には高い社会的地位を持つ者ばかりでなく、一般庶民や戦争捕虜も多く含まれています。帰化人の大半は中国系であり、朝鮮半島からの帰化人の中にも中国系が多数写実しています。関晃は、百済や新羅といった朝鮮各地から来た者たちの中に、前漢以来、朝鮮に住んでいた中国人の子孫が含まれていると述べています。百済から日本にコミュニティを作った人々の中には、漢族が多かったため、彼らの持ち込んだ文化も主に大陸文化とされています。

平安時代の上流階級の戸籍所を示す『新撰姓氏録』によれば、帰化人にルーツを持つ士族が全体の20%を占めています。この分類は、リアルに歴史を受け継いだ人々のものであり、日本に定住した彼らが帰化人と見なされることは自然な流れでした。

また、文筆や記録に関わった田辺史氏なども、百済に帰化した日本人だと考えられています。このように、帰化人は、日本史の中で重要な役割を果たしてきました。

渡来人と帰化人の違い

帰化人と渡来人は混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。渡来人は単に日本に来た人々を指し、帰化人は国家に定住し、国籍を取得した者を意味します。多くの帰化人が持つ漢族の文化的影響は、日本の社会や文化の形成にとって重要な要素であったことは間違いありません。特に、漢字の伝来や稲作など、彼らがもたらした技術や知識は、日本の発展に大いに寄与しました。

以上のように、帰化人の歴史は、日本の形成過程において重要な位置を占めています。彼らはさまざまな文化を日本に持ち込み、多様性をもたらしました。

もう一度検索