怪人二十面相と少年探偵団

怪人二十面相と少年[[探偵団]]：関西を舞台にした江戸川乱歩の世界

1983年10月から1984年3月にかけて、関西テレビの「阪急ドラマシリーズ」枠で放送された『怪人二十面相と少年[[探偵団]]』。そして、同年4月から9月には続編『II』が放送されました。本作品は、江戸川乱歩の有名な少年探偵シリーズから「明智小五郎」と「怪人二十面相」をキャラクターとして借用し、現代の関西を舞台にオリジナルストーリーを展開したテレビドラマです。

関西を舞台にしたミステリアスな冒険

物語の舞台は、宝塚、尼崎、西宮、芦屋、神戸といった阪急沿線を中心に展開。ロケ地もこれらの地域が中心に用いられ、閑静な高級住宅街や神戸港の異国情緒が、ドラマに独特の雰囲気を与えています。西宮南署という架空の警察署が事件の窓口となり、現実の地名と架空の事件が織りなすミステリーが魅力です。原作の舞台である戦前の麻布近辺を彷彿とさせる、宝塚や芦屋の高級住宅街の風景が巧みに使用されています。

監督は東宝出身の2名が交代で担当。興味深いのは、劇中舞台が関西地方であるにもかかわらず、一部のキャラクターを除き、標準語が使用されている点です。「阪急ドラマシリーズ」では初となるナレーターが起用され、俳優の前田昌明氏が落ち着いた語り口で物語を彩っています。原作に忠実な「ですます」調の丁寧な言葉遣いが、作品全体の雰囲気を上品に保っています。

初代二十面相のアジトとして須磨離宮公園と須磨水族園が使用されるなど、ロケ地には宝塚ファミリーランドや阪急西宮スタジアムといった、現在は存在しない阪急関連の施設も登場します。このドラマは、かつて小津安二郎や岡本喜八といった巨匠が作品を制作した宝塚映画（宝塚映像の前身）の撮影所を舞台に、阪急東宝資本である関西テレビによって制作されました。グループ総結集ともいえるこの作品は、フジテレビ系列の一部局でも放送され、その後も再放送や番販によって多くの視聴者に楽しまれました。しかし、現在もビデオソフト化やDVDソフト化はされていません。

複雑なストーリーと魅力的なキャラクター

『怪人二十面相と少年[[探偵団]]』は、重厚なストーリー展開が特徴です。1話完結ではなく、2週にわたって1エピソードが展開される構成となっており、怪人二十面相の犯行予告から始まる、明智小五郎と少年[[探偵団]]との駆け引きが見どころとなっています。

怪人二十面相役には立川光貴氏が起用され、そのダンディーな容貌と舞台風演技が、国籍不明の怪盗像を際立たせています。特に、最終回で明かされる意外な変装術は、大きな驚きを与えました。これは、プロデューサーがレギュラー陣の顔ぶれを見て思いついたサプライズだったと言われています。

少年[[探偵団]]長である小林芳雄役を古川聰氏、明智小五郎役を堀光昭氏が演じるなど、豪華なキャスト陣が作品を支えています。その他、田渕岩夫氏、浜崎満氏、牧冬吉氏、河東けい氏といったベテラン俳優も出演しています。また、当時新人アイドルだった雅氏が演じる真弓ナナ役や、個性的な脇役陣も作品に華を添えています。

パラレルワールドとしての「II」

続編である『II』は、「前作で死んだと思われた二十面相が実は生きていた」という衝撃的な展開から始まります。しかし、登場人物や舞台設定は前作から大きく変更されており、両作品はパラレルワールド的な関係にあります。

監督は石田勝心氏から大洲斉氏に交代。前作では明智小五郎の活躍が中心でしたが、『II』では少年[[探偵団]]が中心となり、神出鬼没の二十面相に果敢に挑む冒険活劇が描かれています。二十面相役には山本昌平氏が起用され、「人間を人形に変えてしまう」など、怪奇色の強いキャラクターとして描かれています。

山本氏の二十面相は赤い照明が常に当てられ、前作とは全く異なる不気味さが強調されています。山本氏は、二十面相役を演じたことについて、かねてからの希望が叶ったと喜びを語っています。当時、阪急西宮球場で行われた阪急ブレーブスの開幕戦で、山本氏が二十面相のコスプレで始球式を務めたことは、大きな話題となりました。

『II』でも豪華キャスト陣が勢揃い。古川聰氏演じる小林芳雄を中心に、新たな少年[[探偵団]]員や、加納竜氏演じる明智小五郎、山谷初男氏演じる駒田六平警部補など、個性豊かなキャラクターたちが物語を盛り上げます。

両作品ともに、主題歌はキャメロットが担当。「少年[[探偵団]]」というタイトルの楽曲が、作品の世界観をさらに深めています。

これらの作品は、豪華キャスト、複雑なストーリー、そして現代の関西を舞台にした独特の雰囲気によって、多くの視聴者を魅了した、忘れがたいテレビドラマとして今も語り継がれています。

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