田渕岩夫

田渕岩夫：声帯模写の達人から京都の顔へ

田渕岩夫（たぶち いわお）氏は、1950年6月21日生まれの日本の声帯模写芸人、タレント、俳優です。大阪市出身で、若かりし頃より類まれな才能を開花させました。大阪商業大学付属高校では、自ら「寄席研究部」を創部するほどの熱意を持ち、その頃から既に芸能への道を歩み始めていたと言えるでしょう。

プロデビュー以前は、フジテレビ系列の『しろうと寄席』などに出演し、大橋巨泉氏をはじめとする著名人の声帯模写を披露。その卓越した技量は早くから注目を集め、1966年には桜井長一郎氏に入門し、本格的な芸の道を歩み始めます。近畿大学在学中の1969年、コマ・モダン寄席で初舞台を踏むと、演芸番組や寄席への出演を重ねる傍ら、映画やテレビドラマにも俳優として出演するなど、活動の幅を広げました。

1990年から2008年にかけては、KBS京都テレビで『田渕岩夫のハッスルわいど』や『田渕岩夫の得ダネ!てれび』などの番組司会を務め、長年に渡り視聴者から愛され、「京都の顔」として親しまれる存在となりました。これらの番組を通して、地域社会に密着した活動を展開し、多くの人々に笑顔と活気を届けてきました。KBS京都ラジオへの出演も続け、地元京都への貢献を続けた氏は、2011年までにラジオ番組を全て降板しました。

多様なメディアへの出演以外にも、氏の活動は多岐に渡ります。2007年には天満天神繁昌亭で高座に上がり、落語の世界にも挑戦。また、『今宮子供えびすマンザイ新人コンクール』では長年にわたり司会を務め、若手芸人の育成にも貢献しています。

得意とする声帯模写のレパートリーは幅広く、昭和天皇や藤山寛美氏、鳳啓助氏といった偉大な人物から、政治家、スポーツ選手まで多様な人物を演じ分ける技術は、まさに圧巻です。その精巧な模写は、多くの観客を魅了し続けています。

プライベートでは、兵庫県西宮市在住で、阪神・淡路大震災の被災者でもあります。この経験から、大地震発生後は速やかに靴を履くことの重要性を訴え、自身の体験を踏まえた防災意識の高揚に貢献しています。

さらに、MBSラジオで放送されていた『どーだ!ますだおかだ』では、田渕氏のコーナーが設けられ、リスナーから提供された身近な人物を紹介するなど、親しみやすい一面も見せています。のちに、自身も番組ゲストとして出演し、そのユーモラスな語り口で聴取者を楽しませました。

テレビ番組への出演は多岐に渡り、サンテレビの『生×カラ!TV』をはじめ、『11PM』（よみうりテレビ）、『花王名人劇場』（関西テレビ）、KBS京都テレビの様々な番組など数多くの番組に出演。また、NHKの朝の連続テレビ小説『おはようさん』や『てるてる家族』、『必殺シリーズ』などの時代劇にも出演し、俳優としての高い演技力も披露しました。さらに、クイズ番組『クイズ!脳ベルSHOW』（BSフジ）へのゲスト出演など、幅広いジャンルの番組に出演することで、老若男女問わず多くの視聴者から支持を得ています。

ラジオ番組においても、『上方演芸会』（NHKラジオ第1）、BSSラジオ『ラジオでキャッチ』、KBS京都ラジオの複数番組で活躍しました。これらの出演を通して、氏の持ち前の明るさとユーモアを届けてきました。

CM出演も精力的に行い、JA全農京都、カイウル、アリコジャパン（京都ローカル）、きものみらいなどのCMに出演し、親しみやすいキャラクターで商品やサービスの魅力を伝えています。

映画にも出演しており、『愉快な極道』や『女必殺五段拳』など、東映作品を中心に数多くの作品に出演しています。

音楽活動としては、1994年に赤瀬美保氏とデュエットした「もう一度京都」、1998年には祇園美年子氏や橘有香氏とのデュエット曲をリリースするなど、歌手としても活動しています。特に「もう一度京都」は、『田渕岩夫の得ダネ!てれび』のコーナーで残念賞としてプレゼントされるなど、番組とも深く結びついた楽曲となりました。

田渕岩夫氏の活動は、声帯模写芸人としての卓越した技術、タレント・俳優としての幅広い活躍、そして地域社会への貢献という三つの柱によって支えられています。その多才さと人柄は、多くの人々に愛され、日本の芸能界に大きな足跡を残していると言えるでしょう。

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