情況

『情況』とは

『情況』は、情況出版株式会社が発行する日本の季刊総合雑誌です。1968年に創刊され、当初は新左翼系の論壇誌として、学生運動や社会運動に関わる記事を多く掲載していました。その後、社会の変化に合わせて、人文・社会科学系の総合誌として、政治思想、社会問題、文化現象など幅広いテーマを取り上げ、独自の視点から分析・考察を展開しています。

歴史

創刊は1968年。第二次ブント分裂後の「情況派」が母体とされていますが、創設者の古賀暹氏は、党派とは独立したジャーナリズム、理論誌として設立したと述べています。廣松渉氏からの資金援助を受け創刊に至ったという逸話も残っています。創刊当初は、全共闘運動、砂川闘争、三里塚闘争、公害問題などの国内社会運動を特集し、中国やソビエトなど世界史的視野も含めて当時の社会運動の多面的な広がりを反映しました。また、天皇制、ナショナリズム、マルクス主義、旧優生保護法、女性解放運動、アイヌ、沖縄、朝鮮などの問題を提起し、「近代」自体を問い直すメディアとして、運動・闘争の中心的役割を果たしました。

近年では、創刊当時の学生運動・社会運動を振り返りつつ、キャンセルカルチャー、メンタルヘルス、宗教問題、ウクライナ侵攻、大麻、ポピュリズム、コロナ禍、現代右翼研究といった社会問題を取り上げ、漫画、文学、映画、音楽、Twitter、VTuberなどの流行・カルチャーとも連動させた誌面を構成しています。

2022年には、20代を中心とした若手編集委員への世代交代が行われ、新たな視点を取り入れながら、変革を目指すオピニオン誌として注目を集めています。

年表

• - 1968年：月刊『情況』創刊
• - 1976年：休刊
• - 1990年：『情況 第2期』刊行開始
• - 2000年：『情況 第2期』終刊、『情況 第3期』刊行開始
• - 2007年：隔月刊化
• - 2008年：月刊に戻る
• - 2010年頃：再び隔月刊化
• - 2011年：『情況 第3期』終刊、『情況 第4期』刊行開始
• - 2015年：月刊化、その後隔月刊化
• - 2017年：季刊化
• - 2018年：『情況 第4期』終刊、『情況 第5期』刊行開始
• - 2021年：創刊号から101号までを「復刻版『情況』」として発売
• - 2022年：『情況 第5期』休刊
• - 2023年：『情況 第6期』刊行開始

主な寄稿者

『情況』には、創刊から現在に至るまで、思想家、評論家、作家、研究者など、多くの著名人が寄稿しています。以下はその一部です。

• - 廣松渉
• - 吉本隆明
• - 柄谷行人
• - 海老坂武
• - 上野千鶴子
• - 佐藤優
• - 宮台真司
• - 東浩紀
• - 白井聡
• - 仲正昌樹
• - 斎藤環
• - 笠井潔
• - 外山恒一
• - 森元斎
• - 曽我部恵一
• - 足立正生
• - 斎藤貴男

その他、多岐にわたる分野の専門家や論客が名を連ねています。

バックナンバー

『情況』は、各期ごとに、社会情勢や思想動向を反映した特集を組んでいます。

• - 第1期：学生運動、反戦運動、帝国主義、ファシズムなど
• - 第2期：社会主義、マルクス主義、現代思想など
• - 第3期：グローバリズム、環境問題、ジェンダー、ポストモダンなど
• - 第4期：安倍政権批判、沖縄問題、原発問題、社会運動など
• - 第5期：論壇再生、大学改革、MMT、大麻、ポピュリズム、コロナ禍、現代右翼研究など
• - 第6期：宗教、動物、音楽、メンタルヘルス、パラレルワールド、食、トランスジェンダー、社会保障改革など

その他の媒体

紙媒体での発行を続ける一方で、YouTubeチャンネル「情況放送」を開設し、動画コンテンツの配信も行っています。

歴代編集長

• - 古賀暹（第1期・第2期）
• - 大下敦史（第3期・第4期）
• - 横山茂彦（第5期）
• - 菅原秀宣（第5期主幹）
• - 塩野谷恭輔（第6期）

『情況』は、創刊から半世紀以上が経過した現在も、社会の変革を志す人々にとって重要なメディアとして、その役割を果たし続けています。

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