成瀬昌彦

成瀬昌彦：知性と個性を放つ名優の軌跡

成瀬昌彦（1924年9月30日-1997年11月）は、日本の俳優、演出家として活躍した人物です。東京市（現在の東京都文京区）出身で、日本大学専門部芸術科（現・日本大学藝術学部）卒業。本名も成瀬昌彦です。

青年座を築き上げた初代座長

1940年代には俳優座系の移動演劇団「芙蓉隊」に参加。戦後も俳優座に所属していましたが、創作演劇への強い情熱から1954年に脱退。森塚敏、山岡久乃、東恵美子、初井言榮らと共に、創作劇団「青年座」を旗揚げし、初代座長に就任しました。成瀬昌彦の指導力と熱意のもと、青年座は多くの才能を育成し、日本を代表する劇団へと成長を遂げました。その礎を築いた功績は、現在も高く評価されています。

映画・テレビドラマにおける多彩な役柄

映画やテレビドラマにおいても、成瀬昌彦は幅広い役柄を演じ、その高い演技力で観客を魅了しました。知的な悪役として多くの作品に出演し、社会派作品からアクションドラマ、さらには日活ロマンポルノまで、ジャンルを問わず活躍しました。時代劇では、悪徳商人や悪徳医師、悪学者といったインテリ系の悪役から、悪代官やヤクザの親分といった黒幕的な役まで、見事に演じ分けました。

特撮作品にも数多く出演しており、『ウルトラセブン』ではプロテ星人やロボット長官、『帰ってきたウルトラマン』ではナックル星人の人間体など、冷酷な悪役を演じ、視聴者に強い印象を与えました。しかし、彼の演技力は悪役に限らず、コミカルな浪人や悲運な倒幕思想家、子供たちの優しい父親、公正な警察署長など、多様な役柄をこなすことができました。

代表的な出演作品

映画
肉体の門（1948年）
思春の泉（1953年）
ここに泉あり（1955年）
ビルマの竪琴（1956年）
黒部の太陽（1968年）
日本の悪霊（1970年）
百恵の唇 愛獣（1980年）など多数

テレビドラマ
松本清張シリーズ
三匹の侍
ウルトラシリーズ
素浪人 花山大吉
水戸黄門
太陽にほえろ!
走れ! ケー100
野性の証明など多数

これらの作品で、成瀬昌彦は、その卓越した演技力と存在感で、視聴者・観客に深い印象を残しました。

晩年と没後

1997年11月、73歳で亡くなりました。彼の死は、演劇界、映画界、そしてテレビ界に大きな損失をもたらしました。しかし、彼の残した数々の作品は、これからも多くの人々に感動と興奮を与え続けるでしょう。 彼の功績は、日本の演劇史、映画史、そしてテレビドラマ史に永遠に刻まれることでしょう。 青年座の礎を築き、数々の名作に出演した成瀬昌彦の功績は、後世に語り継がれるべきものです。

参考文献

『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5。

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