新琴似駅

新琴似駅の概要

新琴似駅（しんことにえき）は、北海道札幌市北区新琴似8条1丁目に位置する、北海道旅客鉄道（JR北海道）札沼線（学園都市線）の駅です。駅番号はG05で、電報略号はコニです。札沼線は、桑園駅から当駅までが高架区間となっており、次の太平駅から終点の北海道医療大学駅までが地上区間となります。

本稿では、当駅に隣接して設置されていた札幌市電鉄北線の新琴似駅前停留場についても触れていきます。

歴史

JR北海道

当駅の設置は、1923年（大正12年）5月に札沼線の工事実測に先立ち、当時の新琴似住民自治組織であった「新琴似兵村部落会」が旭川建設事務所に停車場設置の請願を起こしたことに端を発します。

当初、部落会は新琴似の中心であった新琴似四番通り（現在の北海道道865号樽川篠路線の一部）の東端を無償提供する代わりに、駅ホームを線路北側に設置することを要望しました。しかし、1929年（昭和4年）3月には、駅の位置は部落会の意向に反し、現在地から1kmほど桑園寄り（桑園起点4.5km地点、新琴似二番通り）に選定されました。

この決定に対し、新琴似が所在する琴似村（当時）では村長名で四番通り側に駅を設置するよう意見書を提出しました。また、住民間でも駅設置位置を巡って対立が発生しましたが、最終的には四番通り側が用地を寄付することを申し出たこと、そして琴似村長らの熱心な働きかけが実り、現在の新琴似四番通り側に駅が設置されることになりました。ただし、ホームは南側の茨戸街道側に設置され、この点については不満が残る形となりました。

1934年（昭和9年）1[[1月20日]]：国有鉄道札沼南線桑園駅 - 石狩当別駅（現在の当別駅）間の開通に伴い、同線の駅として開業。一般駅。
1935年（昭和10年）10月3日：石狩当別駅 - 浦臼駅間の延伸開業に伴い、札沼南線が札沼北線と統合し、札沼線に改称。
1949年（昭和24年）6月1日：日本国有鉄道法施行に伴い、日本国有鉄道（国鉄）に継承。
1953年（昭和28年）10月：駅舎増改築。
1954年（昭和29年）8月：乗降場を100m延伸。
1979年（昭和54年）2月1日：貨物取扱い廃止。構内を跨ぎ駅待合室に直結する陸橋を建設、下り乗降場を25m、上り乗降場を50m延伸し、上りホームに鉄骨上屋20mを新設。
1984年（昭和59年）2月1日：荷物取扱い廃止。
1984年（昭和59年）4月1日：駅長の配置を終了し、桑園駅駅長の管理下となる。営業事務は日本交通観光社に委託する業務委託駅となる。
1981年（昭和56年） - 1985年（昭和60年）：この間、ホーム南寄りに跨線橋設置。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化に伴い、JR北海道の駅となる。
1988年（昭和63年）4月1日：業務委託駅から直営駅になる。
1988年（昭和63年）11月：交換設備に安全側線を設置し、交換列車の同時進入を可能とする。
1991年（平成3年）3月16日：札沼線に「学園都市線」の愛称を設定。
1999年（平成11年）8月22日：札沼線（学園都市線）の新川駅 - 当駅間および当駅 - 太平駅間の一部が高架化。これにより、高架駅となる。
2000年（平成12年）3月11日：新駅舎完成。札沼線（学園都市線）のうち、当駅を含む八軒駅 - 太平駅間に現下り線が増設され複線化。自動改札機を設置し、供用開始。
2000年（平成12年）月日不詳：札沼線（学園都市線）のうち、当駅を含む桑園駅 - 石狩月形駅間に自動進路制御装置 (PRC) 導入。
2006年（平成18年）1月：自動列車案内装置導入。同時に、電光掲示板が方向別の液晶ディスプレイとなる。
2007年（平成19年）10月1日：駅番号設定（G05）。
2008年（平成20年）10月25日：ICカード「Kitaca」使用開始。
2008年（平成20年）1[[1月1日]]：長時間運転を見合わせる事象が発生した場合、JRの乗車券所持者に札幌市営地下鉄の乗車券を配布する代替輸送を開始。札沼線では当駅で地下鉄南北線麻生駅からの乗車券を配布。
2012年（平成24年）6月1日：札沼線（学園都市線）のうち、当駅を含む桑園駅 - 北海道医療大学駅間が電化（交流20,000V・50Hz）。

札幌市電（新琴似駅前停留場）

かつて駅東南約300mに、札幌市電鉄北線の終点である新琴似駅前停留場が存在していました。

鉄北線は1952年（昭和27年）に北24条までの延伸が完了していましたが、1950年代に入り新琴似地区をはじめとする札幌市北部の宅地化が進んだため、3回に分けて新琴似駅前まで延伸されました。特に北27条から先の延伸については、市が道幅を理由に渋った際には土地所有者が無償提供を申し出たほどでした。しかし、地下鉄南北線が北24条まで開通し鉄北線が孤立路線となると、住民からは北24条駅での乗換ではなく、地下鉄の延長を求める声が高まり、麻生駅への延伸（1978年）が決定した翌年の1974年（昭和49年）に市電は廃止されました。

1964年（昭和39年）1[[2月1日]]：札幌市電鉄北線麻生町 - 新琴似駅前間の開通に伴い、新琴似駅前停留場が開業。この時点では非電化であり、路面ディーゼルカーが投入された。
1967年（昭和42年）1[[1月1日]]：鉄北線 北33条 - 新琴似間が電化（直流600V）。
1969年（昭和44年）1月11日：新琴似連合町内会長名で札幌市議会宛てに、市電を屯田・石狩町方面へ延伸するよう陳情。
1971年（昭和46年）12月16日：札幌市営地下鉄南北線北24条駅延伸に伴い、鉄北線の北24条以南が廃止。
1974年（昭和49年）5月1日：前日の営業をもって札幌市電鉄北線北24条 - 新琴似駅前間廃線。新琴似駅前停留場廃止。

駅構造

相対式ホーム2面2線を有する高架駅です。ホームへは階段・エレベータの他に、上下両方向のエスカレーターが設置されています。

2012年5月31日までは、八軒駅・新川駅と並び、非電化・高架・複線という珍しい構造の駅でした。高架化工事中、当駅周辺では一時的に線路を（複線のまま）元の路盤よりも更に北西側（現下り線の更に外側）に振っていました。現駅舎は旧駅のほぼ真上に建設されました。

桑園駅管理の業務委託駅（北海道ジェイ・アール・サービスネットが受託）で、みどりの窓口・自動券売機・話せる券売機・自動改札機・ICカードチャージ機・セブン-イレブン（北海道キヨスク運営、サンクスから転換）が設置されています。待合室にはパン専門店ベーカリーベル新琴似店（日曜定休）があります。

利用状況

旅客

旅客の乗車人員は、戦後、競合する市電の延伸・廃止や地下鉄の延伸によって増減を繰り返しましたが、1970年代後半以降は市街化や札沼線自体の利用増加により、利用客を増やしました。

貨物

開業当初は、付近の帝国製麻会社に亜麻茎が到着し、駅からはエンバク（軍馬の飼料として陸軍糧秣廠に納入）や新琴似大根などの農産品が発送されていました。しかし、第二次大戦後、これらの貨物はそれぞれ化学繊維の進出、終戦によるエンバクの作付中止、周辺宅地化による大根の作付減少によって自然消滅しました。

一方で、1954年（昭和29年）に駅北側に不燃建材を生産する工場が開設され、高度経済成長期には空前の発送貨物を記録しましたが、その後生産が下火となり、1973年（昭和48年）に工場が長沼町に移転したため、新琴似発送の貨物は激減しました。

1979年（昭和54年）に、札沼線他駅と同様に貨物の取り扱いは終了しました。

駅周辺

東口は、南東に約500メートル離れた麻生駅を中心とする麻生地区の外れに位置しており、その微妙な位置関係から、乗り換え需要を除けば人の流れを引き付ける力は乏しい状況です。一方、西口はかつての新琴似兵村の中心であり、西5丁目樽川通沿いを中心に体育館や図書館などの公共施設が立ち並び、商業施設が集積する麻生地区とは異なる拠点を形成しています。複線電化完成後、駅周辺には大小のマンションが集積し、地下鉄とは競合しない利用者層が目立ち始めています。

駅周辺には、以下の施設があります。

札幌市営地下鉄南北線麻生駅（麻生バスターミナル併設）
国道231号
北海道道277号琴似停車場新琴似線（琴似栄町通）
北海道道431号丘珠空港線・丘珠空港通
北海道道865号樽川篠路線・西5丁目樽川通
北区新琴似まちづくりセンター
北警察署新琴似交番
北消防署新琴似出張所
札幌市水道局北部水道センター
札幌市下水道科学館
札幌市立新琴似小学校
札幌市立新琴似中学校
札幌北郵便局
札幌麻生郵便局
札幌新琴似郵便局
北海道労働金庫札幌麻生支店
北海道信用金庫新琴似支店
北洋銀行麻生支店・新琴似支店
北海道銀行麻生支店
北陸銀行麻生支店
札幌市農業協同組合（JAさっぽろ）新琴似支店
新琴似屯田兵中隊本部
新琴似神社
札幌市北区体育館
札幌市麻生球場
札幌市新琴似図書館
プラザ新琴似
イオン札幌麻生店
マックスバリュ新琴似店
ニトリ本社・本店
セカンドストリート新琴似店
北大学力増進会札幌北本部、スポーツクラブZip麻生
北海道中央バス（新川、石狩）「新琴似駅前」・「新琴似駅通」停留所
北札幌病院

その他

駅の待合室内には、石でできた熊の像「新ちゃん」が置かれています。名前は「新琴似」の「新」に由来し、季節ごとに衣装の着せ替えも行われています。もともとは旧駅のホーム（札幌方面ホーム）にあったもので、材質は札幌軟石ではないかとされています。1976年（昭和51年）には駅に設置されていたことが確認されていますが、設置の経緯は不明です。高架新駅完成後は、撤去が計画されていましたが、地元住民の要望により、待合室内に移設されました。

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）

■札沼線（学園都市線）

新川駅 (G04) - 新琴似駅 (G05) - 太平駅 (G06)

かつて存在した路線

札幌市電

鉄北線

北24条停留場 - 新琴似駅前停留場

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