星の王

カンタータ『星の王』について

イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲のカンタータ『星の王』（ロシア語: Звездоликий、フランス語: Le Roi des étoiles）は、コンスタンチン・バリモントの同名の詩に基づいた、男声合唱とオーケストラのための作品です。ロシア語の原題は「星の顔をした人」を意味します。1911年から1912年にかけて作曲されました。

作品の概要

この作品は、大規模なオーケストラと6声の男声合唱のために書かれた、わずか54小節ほどの短い楽曲です。しかし、演奏上の難易度が高いため、上演機会は多くありません。リッカルド・シャイーやピエール・ブーレーズといった著名な指揮者によって録音はされています。

作曲当時、ストラヴィンスキーは《ペトルーシュカ》の成功後、《春の祭典》の作曲に取り掛かっていました。この時期に、ドビュッシーの進歩的な和声法に影響を受けたこの作品を作曲しました。ドビュッシーは、この作品の譜面をストラヴィンスキーから受け取り、その独創性を絶賛し「類を見ない」と評しました。しかし、曲の複雑さと短さから、理解者を得るのが難しいのではないかと懸念も示していました。事実、初演は1939年まで待たなければなりませんでした。

音楽的特徴

音楽語法や象徴主義的なテキストの選択から、ドビュッシーだけでなく、アレクサンドル・スクリャービンからの影響も指摘されています。しかし、ストラヴィンスキー自身は、この作品のタイトルである「星の顔をした人」という言葉の響きに惹かれただけで、その意味内容に特別な意図はなかったと語っています。初演は1939年4月19日にブリュッセルで行われました。

オーケストラの楽器使用は最低限に抑えられていますが、トレモロやスル・ポンティチェロ、8音の音塊など、ストラヴィンスキーの作品としては珍しい音響効果が用いられており、オーケストラの存在感が際立っています。合唱は、レチタティーヴォ風、かつ朗詠風のシラビックな様式で歌われます。曲のテンポはレント・アッサイで、演奏時間は約5分です。

楽器編成

合唱の伴奏には、以下の大規模なオーケストラが用いられています。

男声合唱
ピッコロ1
フルート3（第3フルートはピッコロと持ち替え）
オーボエ4（第4オーボエはコーラングレーと持ち替え）
ソプラノクラリネット1
クラリネット3
ファゴット3
コントラファゴット1
ホルン8
トランペット3
トロンボーン3
チューバ1
打楽器群（ティンパニー、バスドラム、タムタムなど）
ハープ2
チェレスタ1
弦楽五部

参考資料

André Boucourechliev, Igor Stravinsky, Fayard, coll. « Les indispensables de la musique », France, 1982 (ISBN 2-213-02416-2).

外部リンク

ЗВЕЗДОЛИКИЙ（ロシア語の歌詞）

『星の王』は、短いながらもストラヴィンスキーの音楽的探求心と、ドビュッシーやスクリャービンの影響が色濃く感じられる興味深い作品です。その独特な音楽言語と、象徴的なテキストの融合は、聴衆に深い印象を与えます。

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