本輪西駅

本輪西駅：室蘭工業地帯の歴史を刻む駅

北海道室蘭市本輪西町に位置する本輪西駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）と日本貨物鉄道（JR貨物）室蘭本線に属する地上駅です。駅番号はH33。

1925年（大正14年）8月20日、鉄道省の駅として開業した本輪西駅は、当初から貨物輸送に重要な役割を担っていました。特に、1929年（昭和4年）の本輪西埠頭建設に伴い、専用線が敷設され、室蘭港の物流を支える拠点として発展しました。

駅の建設当初は、線路が駅舎よりも6m高い築堤上にありましたが、貨物取扱いの支障を解消するため、1938年（昭和13年）8月には線路引き下げ工事が完了。その後も、室蘭製油所専用線の運行開始（1956年頃）、駅舎改築・構内拡張工事（1957年）、跨線橋設置（1959年）など、時代に合わせて駅施設の整備が進められました。

1972年（昭和47年）7月1日には、専用線発着を除く貨物の取扱いが廃止されましたが、専用線を利用した貨物輸送は継続。その後、荷物取扱い廃止（1984年2月1日）、業務委託駅化（1984年3月31日）、駅員無配置駅化（1986年11月1日）を経て、国鉄分割民営化（1987年4月1日）によりJR北海道とJR貨物の駅となりました。

2014年（平成26年）5月30日には車扱貨物取り扱いが終了、2015年（平成27年）3月18日には新駅舎が供用開始されました。現在では無人駅として、静かにその歴史を見守っています。

駅名の由来

駅名は、付近の地名に由来します。室蘭港対岸の輪西という地名は、本来この地域を指していたと言われています。

駅構造

本輪西駅は、島式ホーム1面2線を有する地上駅です。ホームのない着発線も備えています。駅舎は駅構内北側に位置し、ホームとは跨線橋で連絡しています。無人駅であるため、窓口での対応はありません。かつては業務委託駅として、窓口営業も行われていました。

貨物取扱と専用線

JR貨物駅として、2014年5月29日まで専用線発着の車扱貨物を扱っていました。特に、JXTGエネルギー室蘭製造所（現在のENEOS室蘭事業所）への専用線は、鉄道による石油輸送の拠点として重要な役割を担っていました。

道内における鉄道による石油輸送は、1960年11月から開始され、本輪西駅からは札幌、旭川、帯広など道内9拠点へ石油が輸送されていました。ピーク時には年間149万トン（2000年度）を輸送していましたが、その後は輸送量が減少。コスト削減のため、タンカーやタンクローリーへの輸送形態転換が進み、2014年5月29日をもって、道内で唯一残っていた札幌貨物ターミナル駅行きの石油輸送列車も廃止となりました。

専用線の総延長は6.6km、総本数は16本、タンク車の最大収容量は255両にのぼるなど、大規模な石油輸送拠点でした。

利用状況

2010年（平成22年）度の1日平均乗車人員は約36人でした。貨物輸送実績は、ピーク時には年間100万トンを超えていましたが、近年は減少傾向にあります。

駅周辺

駅周辺には、国道37号、道央自動車道室蘭インターチェンジ、室蘭警察署本輪西交番、本輪西郵便局、室蘭信用金庫本輪西支店、室蘭市立港北中学校、ENEOS室蘭事業所、室蘭港、道南バス「本輪西」停留所などがあります。

隣の駅

• - 崎守駅
• - 東室蘭駅

本輪西駅は、室蘭工業地帯の発展とともに歩んできた歴史を刻む駅であり、その変遷は、日本の産業構造の変化を物語る貴重な存在と言えるでしょう。

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