東京都交響楽団

東京都交響楽団：東京を代表するオーケストラの軌跡と未来

東京都交響楽団（都響）は、1964年東京オリンピックを記念した文化事業の一環として、1965年に東京都によって設立された日本のオーケストラです。略称は「都響」。東京文化会館を本拠地とし、サントリーホールや東京芸術劇場などでも定期演奏会を開催。多摩地区や近県での公演に加え、ソビエト連邦、フィンランド、東欧など海外への演奏旅行も積極的に行っています。

華麗なる指揮者たちの系譜

都響の歴史は、数々の名だたる指揮者たちによって彩られてきました。ハインツ・ホフマン、森正、渡邉暁雄といった日本のオーケストラ界を牽引してきた巨匠たちから、モーシェ・アツモン、ズデニェク・コシュラー、ペーター・マーク、ジャン・フルネといった国際的な指揮者、そして若杉弘、大野和士、小泉和裕、エリアフ・インバル、ガリー・ベルティーニ、ジェームズ・デプリースト、ヤクブ・フルシャ、アラン・ギルバートなど、現代音楽界を代表する著名な指揮者たちが、都響の音楽監督、首席指揮者、客演指揮者として活躍。それぞれの指揮者によって、都響は独自の音楽性を築き上げてきました。

特に、ジャン・フルネの下ではフランス音楽の演奏に磨きがかかり、高い評価を獲得。若杉弘によるマーラーの交響曲全曲演奏会「マーラー・サイクル」は、その芸術性の高さと完成度で大きな話題を呼びました。また、エリアフ・インバルによるマーラー・サイクルも、高い評価を得ています。ガリー・ベルティーニも、ケルン放送交響楽団との全曲録音に続く二度目のマーラー全曲演奏会を行い、その一部はCD化されています。

多様なレパートリーと時代を超えた挑戦

都響は、マーラーの作品を重要なレパートリーとしてきました。しかし、その活動はクラシック音楽のみにとどまりません。日本の現代音楽にも積極的に取り組み、「日本の作曲家シリーズ」を定期的に開催するなど、数多くの日本の作曲家の作品を初演、再演、録音してきました。渡邉暁雄の指揮によるシベリウスのクレルヴォ交響曲日本初演や、若杉弘指揮によるワーグナーの交響曲ホ長調の世界初録音など、日本の音楽史に刻まれた重要な演奏も数多く手がけています。

近年では、すぎやまこういち指揮によるドラゴンクエストシリーズ関連曲の演奏や、スティーヴ・ヴァイ、松本孝弘らとの競演など、クラシック音楽の枠を超えた活動にも積極的に挑戦。アニメ『のだめカンタービレ』への音楽協力など、幅広い分野で活躍しています。また、岩代太郎理事の就任以降は、映画音楽やNHK大河ドラマのサウンドトラック演奏にも参加するなど、活動の幅を広げ続けています。

定期演奏会と様々なコンサート

都響は、東京文化会館、サントリーホール、東京芸術劇場を主要な会場として、年間を通して定期演奏会を開催しています。A、B、Cの3つのシリーズで構成され、それぞれ個性豊かなプログラムが用意されています。これ以外にも、プロムナードコンサートや、都響スペシャルなどの特別演奏会も開催。八王子や調布など、東京都内各地でも演奏会を行っています。

東京都との関係と未来への展望

都響は東京都の監理団体（外郭団体）として、長らく東京都知事が理事長を務めてきました。しかし、石原慎太郎都知事時代には、財政再建策の一環として補助金の削減や団員の雇用形態変更などが行われ、オーケストラの存続が危ぶまれる状況もありました。その後、東京都議会定例会の初日に演奏を行うことが恒例となっています。

現在も東京都との関係は深く、東京都の文化政策において重要な役割を担っています。地方自治体がオーケストラを運営する例は、京都市交響楽団など他にもありますが、都響の存続と発展は、日本の文化政策における重要な課題となっています。

アンサンブル活動

都響の金管楽器奏者5名によるアンサンブル「東京メトロポリタン・ブラス・クインテット」も、2005年の結成以来、精力的に活動。すぎやまこういち指揮の下、ドラゴンクエストシリーズ関連曲の演奏など、都響本体とは別に活躍しています。

都響は、これからも東京を代表するオーケストラとして、伝統と革新を融合させながら、音楽を通じて人々を魅了し続けることでしょう。その未来に、大きな期待が寄せられています。

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