東北牧場

東北牧場：歴史と自然が育むサラブレッドの聖地

青森県上北郡東北町に位置する東北牧場は、サラブレッドの生産と育成を専門とする牧場です。1917年の設立以来、長きにわたり日本の競馬界に貢献し続けており、その歴史と伝統は深く、多くの名馬を輩出してきたことで知られています。

輝かしい歴史と革新的な取り組み

東北牧場の歴史は古く、1917年にサラブレッドの生産、育成、そして調教を目的として設立されました。その歴史の中で、1947年には生産馬のマツミドリが東京優駿（日本ダービー）で優勝するという快挙を成し遂げ、牧場の名を全国に轟かせました。

近年では、環境への配慮にも力を入れており、1987年には農事部を設立。農薬や化学肥料を一切使用しない、自然に優しい野菜栽培にも取り組んでいます。サラブレッドの飼育から生まれる馬糞や敷き草は、貴重な自家製堆肥として活用され、牧場内での資源循環システムを構築しています。この持続可能な取り組みは、東北牧場の大きな特徴となっています。

豊かな自然と野生動物たち

東北牧場は、豊かな自然に恵まれた環境にあります。牧場内には様々な野生動物が生息しており、キツネや野ウサギの姿を日常的に見ることができます。興味深いことに、キツネの数が多く見られる年は野ウサギの数が少なく、その逆の現象も観察されており、自然界の微妙なバランスを感じさせます。ニホンカモシカなども現れることもあり、都会では味わえない自然の息吹が感じられる場所です。

青森の馬産地と東北牧場の存在意義

かつて青森県は、北海道と並ぶ国内有数の馬産地として200以上の牧場が栄えていました。しかし、1965年頃から牧場数は減少の一途を辿り、現在では生産を行っている牧場は32か所（青森県軽種馬生産農業協同組合調べ）にまで減少しています。その中で、東北牧場は青森の馬生産の歴史を繋ぐ貴重な存在として、その役割を担っています。

東北牧場が輩出した名馬たち

東北牧場は、数々の名馬を輩出することで知られています。中央競馬の重賞レースで活躍した馬、地方競馬で活躍した馬など、その活躍は多岐に渡ります。

中央重賞勝ち馬
マツミドリ (1947年 東京優駿、1948年 京都記念 (春))
ケイワンバイキング (1998年 ダービー卿チャレンジトロフィー、函館スプリントステークス)
シヨウフウグリーン (1978年 小倉記念)

地方重賞勝ち馬
ケイワンハート (1991年 トゥインクルレディー賞、1992年 東京プリンセス賞)
フジミパワー (1986年 NTV盃)
テツソニセイ (1972年 益田・農林大臣賞典、地全協会長賞、全主協会長賞)
マルゼンアデイアル (1985年 京浜盃、黒潮盃、羽田盃)
トーホクキング (2012年 みちのく大賞典)
パワープライド (1980年 東京記念)
スズカエンペラー (1985年 中京盃)
* ウマノジョー (2017年 大井記念)

これらの馬たちは、東北牧場の高い生産技術と、恵まれた環境によって育まれた証と言えるでしょう。

現在と未来

現在、東北牧場ではアッミラーレ、スピルバーグ、ノーザンリバー、ヘニーハウンド、ベルシャザールといった種牡馬が活躍しています。過去にはカブトヤマやメジロベイリーなども繋養されていました。

東北牧場は、これからも伝統と革新を融合させながら、日本の競馬界に貢献し、青森の豊かな自然を守り続けるでしょう。その取り組みは、未来へと繋がる希望の光です。

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