横浜ユーラシア文化館

横浜ユーラシア文化館は、神奈川県横浜市中区に位置する博物館です。同じ建物内には横浜都市発展記念館も併設されており、歴史と文化を同時に楽しめるスポットとなっています。

施設の概要

この文化館は、著名な考古学者である江上波夫氏が晩年を過ごした横浜市に、自身の収集した貴重な資料を寄贈したことがきっかけとなり、2003年3月に開館しました。収蔵されている資料は、考古学、歴史学、民族学、美術に関するものが約2,500点、文献資料が約25,000冊に及びます。これらの資料は、「砂漠と草原」「色と形」「技」「装う」「伝える」という5つのキーワードに基づいて展示されており、ユーラシア各地の多様な文化と人々の交流の歴史を、多角的に理解できるように工夫されています。

建物の歴史

現在、横浜ユーラシア文化館と横浜都市発展記念館が入居している建物は、元々、横浜市外電話局として使用されていました。1929年に横浜中央電話局として建設されたこの建物は、建築家の中山広吉氏によって設計されました。中山氏は、戦前・戦後の長きにわたり逓信省・郵政省の営繕組織を率いた人物です。

建物の外観は、濃茶色のタイルが全面に貼られ、装飾を控えた堅実なデザインが特徴です。しかし、2階から4階をまとめる柱型や、壁の頂部にある石のコーニスなどには、古典主義様式の構成が残されており、昭和戦前期の逓信省建築特有の意匠を見ることができます。各階の高さが異なるのは、電話局としての機能に合わせた設計によるものです。1階と3階は天井が高く、それぞれ営業室、交換室として使用されていました。2階は局長室や技術館室、5階は交換手のための休憩室や食堂、宿直室として利用されていました。

戦後も横浜市外電話局、NTT横浜情報案内センターとして利用されていましたが、NTTの移転に伴い、横浜市の施設として活用されることになりました。2000年には、「旧横浜市外電話局」として横浜市認定歴史的建造物に認定され、2001年から改修工事が行われ、外壁は当時のまま残して保存されています。

利用案内

開館時間: 午前9時30分から午後5時（入館は午後4時30分まで）
休館日: 毎週月曜日、年末年始など
入館料: 一般（高校生以上）200円、小・中学生100円
その他: 写真撮影は禁止、展示物に直接触れることはできません。

アクセス

みなとみらい線日本大通り駅3番出口すぐ
JR根岸線関内駅南口、横浜市営地下鉄ブルーライン関内駅1番出口から徒歩約10分

収蔵品と展示

展示は、常設展と企画展から構成されており、企画展は横浜都市発展記念館と交互に開催されます。横浜ユーラシア文化館の企画展開催時には、常設展にも企画展の内容が一部取り入れられます。江上波夫氏の寄贈資料は、旧石器時代から現代までのユーラシア全域に及んでおり、その収集範囲の広さと、人類の営みに対する深い興味がうかがえます。

常設展では、時代や地域ごとの分類ではなく、「砂漠と草原」「色と形」「技」「装う」「伝える」という5つのキーワードに沿って展示が構成されています。これにより、ユーラシアの文化を様々な角度から捉えることが可能です。展示物には、日本語と英語のキャプションが付与されており、外国人観光客にも配慮されています。

各展示スペースの紹介

砂漠と草原:

狩猟図
土製羊
移動式羊頭付竈
青銅製銜（ハミ）
青銅製鹿形飾板
馬俑頭部
華夷図

色と形:

ラスター彩人物像
陶枕（トウチン）
移動式羊頭付竈
鳥文双注口付壺形土器
緑釉獣脚付方盤
龍耳瓶（リュウジヘイ）
女性祈念者像
彩陶鉢
男性祈念者像
羊形リュトン
青緑釉把手付水瓶

技:

コンスタンティンI世（コンスタンティヌス大帝）銅貨
ガラス製香油瓶
カットガラス碗
鳳凰文（モン）皿
鍑（フク）
アレクサンダーIII世（アレクサンドロス大王）スタテール金貨
剣の鞘断片
人物形石製品

装う:

苗族女性用上衣
女児用帽子
女性用上衣
女性用被り物
袖無貫頭型上衣
動植物文敷物
髪飾り

伝える:

『王書（シャー・ナーメ）』複製版：ハーヴァード大学 1981年出版
『九辺図論』
『衛蔵図識』上下冊

刊行物

図録、研究書、一般書籍のほか、2013年からは『横浜ユーラシア文化館紀要』が刊行されています。また、年2回ニュースレター『News from EurAsia』が発行され、ウェブ上で公開されています。

ショップ

同じ建物内にあるミュージアムショップでは、横浜都市発展記念館と横浜ユーラシア文化館の関連書籍やグッズが販売されています。

横浜ユーラシア文化館は、ユーラシアの歴史と文化に触れることができる貴重な場所です。ぜひ一度訪れてみてください。

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