犬吠埼マリンパーク

犬吠埼マリンパーク：太平洋を望むユニークな水族館

犬吠埼マリンパークは、千葉県銚子市の犬吠埼に位置していた水族館です。その特徴的なピンク色の外観と、館内のタイル張りの内装は、訪れる人々に独特の印象を与えました。太平洋を見下ろす高台に位置し、そのロケーションも魅力の一つでした。この水族館は、博物館法上の「博物館相当施設」でしたが、日本動物園[[水族館協会]]には加盟していませんでした。

館内の特徴

館内は、1階の「オーシャンホール」では、アマゾン川の淡水魚やゴマフアザラシ、ワニなどが展示されていました。また、銚子漁港で水揚げされるイワシの大水槽も人気がありました。2階の「ファンタジーコーナー」では、エイ、カニ、サメなどが展示され、最奥部の「洞窟水槽」では、ミズダコや北の海の生物を見ることができました。屋上は展望台となっており、太平洋を一望できました。

館内には、コンピュータ制御で動く恐竜の展示があり、人の動きを感知して首を振ったり、霧状の水を噴射したりする演出が施されていました。入り口には卵からかえった恐竜の子の像があり、恐竜の足の間をくぐって展示室に入るというユニークな構造でした。これは、犬吠埼の崖が白亜紀の地層であることにちなみ、来館者に白亜紀を体感してもらおうという意図があったとされています。ただし、展示されていた恐竜はジュラ紀後期のディプロドクスであり、当時の恐竜ブームに便乗したものであったとも言われています。

食事処「海龍亭」では、太平洋を眺めながら食事が楽しめ、かつてはレストラン「カリビアン」もありました。土産物店では、銚子特産のヒゲタ醤油の「本膳」を使った「しょうゆロールケーキ」が人気でした。

歴史

犬吠埼マリンパークは、1954年に「銚子水族館」として開館しました。当初は銚子市が開設し、銚子市観光協会が運営していました。1963年に京成電鉄に譲渡され、「京成マリンパーク犬吠埼水族館」に名称変更されました。この頃、京成電鉄は銚子の観光地化を進めており、水族館はその一環として重要な役割を担っていました。1974年には鉄筋3階建ての施設としてリニューアルオープンしています。

1980年代には、1億年前の化石が展示され、屋外には海浜植物園も設けられていました。当時、103種3000点以上の魚類と、36種500点以上のその他の水生生物が飼育されていました。

1984年に京成電鉄が撤退した後、水族館内のテナントであった富士食品が買収し、運営を引き継ぎました。1993年には全面改修を行い、恐竜の展示や6つのゾーンを新設、お土産館を併設しました。展示生物も約350種6,000点に拡充し、入館者数の増加を図りました。

2002年には、親会社の富士食品が倒産しましたが、犬吠埼マリンパークの経営は切り離され、営業は続けられました。

閉館とその後

2011年の東日本大震災以降、津波の風評被害などにより来館者数が激減し、施設の老朽化も進んでいました。2018年1月29日に閉館が発表され、2日後の31日に閉館しました。閉館後も、元飼育スタッフが残された動物たちの世話を続けました。2019年には運営会社が変更されましたが、その後は具体的な動きは見られていません。

展示生物

犬吠埼マリンパークでは、寒流と暖流がぶつかる銚子沖の特性を生かし、両方の海水魚を展示していました。また、淡水魚や爬虫類も飼育されており、様々な生物を見ることができました。展示解説は、手書きで書かれ、子供たちが読みやすいように工夫されていました。

飼育されていた主な動物には、イルカ、フンボルト[[ペンギン]]、ゴマフアザラシ、ピラルク、タカアシガニなどがいました。イルカショーは人気がありましたが、晩年は頭数減少と体調不良のため中止されていました。

アクセス

犬吠埼マリンパークは、犬吠埼灯台から西へ約200メートルの場所に位置していました。鉄道では、銚子電気鉄道の犬吠駅から徒歩約10分、高速バスでは、東京駅から「犬吠埼」バス停で下車するとアクセスできました。自動車では、銚子連絡道路や東関東自動車道などを利用することができました。駐車場は2時間まで無料でした。

犬吠埼マリンパークは、そのユニークな展示と、太平洋を望む絶好のロケーションで、多くの人々に愛された水族館でした。閉館は惜しまれますが、その歴史は人々の記憶の中に残っています。

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