皇代記

皇代記（こうだいき）

皇代記は、各天皇の主要な出来事を年代順に記した文書であり、特に日本の歴史を知る上で重要な資料とされています。この年代記は、神代から後円融天皇の康暦2年（1380年）までの情報を網羅しており、天皇の名前、誕生、即位、治世中の元号、改元の理由、年数などが詳細に記載されています。特に、各天皇の親族や后妃に関する情報も包含されており、天皇家の系譜を知る手がかりにもなります。

一般的に知られている皇代記の本は、群書類従本という形式で編纂されており、これは1巻から成るものです。特徴として、在位年数や治世の詳細に加えて、災異や仏事のような出来事も挙げられています。また、後宇多天皇の時代に編纂が始まり、その後も何度かの改訂が行われてきたことが特徴です。陽明文庫に所蔵されている写本も同系統とされ、重要な文献として位置づけられています。

さらに、宮内庁書陵部に保管されている鴨脚本は、神代から称光天皇までの情報を含んでおり、「南帝」と呼ばれる後醍醐天皇、後村上天皇、長慶天皇の記事も扱っています。この写本は元々応永5年（1398年）以前に原本が作成され、その後の情報が追加されたものです。記載内容には誤りが含まれているものの、称号に対する傍訓などが貴重な歴史的価値を持つこともあります。

また、春日若宮神主千鳥家本も重要な資料の一つとされ、三条[[天皇]]から白河天皇までの情報を含んでいます。この文書は白河天皇時代末に成立したとされ、現存する年代記の中では最古のものであることから、特に注目に値します。その中には、寛仁元年（1017年）から長元9年（1036年）までの重要な出来事、特に平忠常の乱に関する独自の記録が含まれています。

中世には、皇代記に似た資料が多く編纂されました。特に鎌倉末期には『一代要記』や『皇代暦』、『皇年代略記』、『十三代要略』など様々な類書が登場しました。中でも、後光厳天皇の時代に成立した『帝王編年記（歴代編年集成）』は、これらの集大成ともなっており、皇代記の内容を反映した重要な文成です。

興味深いことに、天皇紀を主題とした寺社の年代記も「皇代記」と呼ばれる場合があり、特に石清水八幡宮や神宮文庫に所蔵されている文献がこれに該当します。

これらの資料は、日本の天皇家の歴史や神秘を理解するための貴重な情報源となっており、現在も研究が進められています。皇代記を通じて、古の日本人がどのように天皇を仰ぎ、歴史を記録してきたのかを知ることができるでしょう。

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