石油精製

石油精製のプロセス

石油精製（せきゆせいせい）は、原油から燃料油や石油化学製品など多様な製品を作り出す工業的なプロセスです。石油精製工場は、原料を受け入れ、様々な製品を製造するための設備や付帯設備から構成されています。これらの設備は、その機能に応じていくつかのカテゴリに分類されます。

精製の流れ

常圧蒸留工程

最初の工程は常圧蒸留です。このプロセスでは、原油を常圧蒸留装置にかけ、ナフサや灯油、軽油、重油などを分離します。残った部分は常圧残渣油と呼ばれ、主に精製の第2段階に使用されます。特にナフサは、石油化学業界で重要なエチレンの原料として使われます。1980年代までは、常圧残渣油は石油火力発電所で燃料として大量に用いられていましたが、石油価格の上昇により、次第に分解して白油化する設備が設置されました。

白油化プロセス

常圧残渣油は、減圧蒸留装置を通じて減圧軽油を生成し、残った減圧残油はアスファルトなどの原料に利用されます。その後、得られた減圧軽油は、流動接触分解装置（FCC）でブテンや新たな軽油製品に変わります。この過程では、触媒が用いられ、石油コークスが生成されます。

さらに、重質な減圧軽油は水素化分解装置を通じてLPGやガソリンに変換されます。この際、生成されるボトム留分は、通常リサイクルされますが、潤滑油の原料としても再利用されることがあります。このプロセスは環境にも配慮されており、最近の研究では植物油を原料に使うことも可能となっています。

熱分解装置の役割

減圧残渣油は、熱分解装置を通じてナフサや暖房軽油、石油コークスを生産します。石油コークスは、石炭の代替として利用されています。蒸留と分解は、原油を効率的に処理するための重要な手段です。蒸留装置は、各成分の沸点差を利用して混合物を分離する役割を担います。

各種設備と不純物除去

石油精製所では、製造工程において消費されるエネルギーを供給するためのユーティリティ設備や環境関連の施設が整備されています。また、水素化精製によって原料の不純物を除去することができます。ガソリンのオクタン価を向上させるための接触改質も重要な工程です。

製油所とその規模

日本の製油所では、常圧蒸留装置の合計処理能力が数百万バレルに達し、効率的に運営されています。先進国では、近代的な設備が多く見られますが、後進国においては原始的な製油方法が問題視されています。例えば、ナイジェリアでは違法製油所が存在し、環境問題や安全リスクが深刻化しています。

最後に

石油精製は、その複雑なプロセスを通じて、私たちの生活に欠かせないさまざまな製品を提供しています。精製技術の進化は、より効率的で環境に配慮した方法を模索する中で、今後も続けられることでしょう。

もう一度検索