窃盗団

窃盗団（せっとうだん）とは

窃盗団とは、組織的に窃盗行為を行い、あるいは盗品を売買することによって不正な利益を追求する犯罪組織を指します。単独犯による窃盗とは異なり、特定の目的のために複数人で結成され、計画的かつ広範囲にわたって活動することが多いのが特徴です。

その活動は多岐にわたり、狙われる対象によって手口や組織構成も様々です。構成員には日本人の他、中国や韓国をはじめとするアジア系外国人が含まれることも知られています。

主な種類の窃盗団とその手口

オートバイ窃盗団

オートバイの盗難は、かつて日本国内で年間20万件を超える深刻な状況でした。近年では件数は減少傾向にありますが、2019年でも1万件以上が発生しています。オートバイ窃盗の主体は、未成年者が遊び目的で行うケースから、大規模かつ計画的な犯行を繰り返す国際的な窃盗団まで様々です。

狙われる車両は、高額なハーレーダビッドソンやBMWといった輸入車、あるいは国内メーカーの大型自動二輪車に加え、東南アジアなどの新興国で人気の高いホンダ・カブのような実用的な車種も含まれます。

彼らの手口には以下のようなものがあります。

ターゲット選定: 中古車買取業者を装ったチラシを車両に貼り付け、剥がされていない車両を確認することで、所有者の管理が行き届いていないかを判断します。
犯行時間: 人目につきにくい深夜から明け方にかけて行われることが多いですが、物音が紛れる雨や風の強い日を選んだり、時には業者を装って白昼や薄暮時に大胆に犯行に及ぶこともあります。
盗難防止装置の突破: キーシリンダーやハンドルロックといった基本的な防犯機能は、物理的な力で強引に解除されます。イモビライザーやアラームなどの電子的な装置についても、事前にその構造を調べ上げ、無効化することがあります。
物理的手段による窃盗: ワイヤーやチェーン、U字ロックなどで施錠されている場合でも、油圧カッターのような特殊工具を用いて切断します。また、固定物と繋がれていない車両は、複数人で持ち上げてそのままトラックやワゴン車に積み込み、運び去る手口も用いられます。
盗品処理: 盗難車両をそのまま輸出するのではなく、輸出規制を避けるために車両を分解し、パーツごとに梱包します。この際、元の車両であることを示すためにマーキングを行うこともあります。これらのパーツは、規制の緩いギリシャなどへ輸出されることが確認されています。

自動車窃盗団

自動車、特に高級車やスポーツカーは、その機能性、デザイン、希少性からステータスシンボルと見なされる一方、不法な転売目的でしばしば盗難の対象となります。自動車は移動可能なため、一度盗まれると遠距離への持ち逃げが容易です。

このため、イモビライザーのような盗難対策装置の普及や、自動車保険での盗難補償オプションの加入など、対策が広く講じられていますが、世界的に見れば依然として多くの自動車が盗まれています。

自動車窃盗は、単なる鍵の解除技術だけでなく、盗難防止装置を無効化する装置の開発、そして盗んだ車両を捌くための販売ルート確保など、技術的・商業的な要素が複雑に絡み合います。こうした背景から、単独犯ではなく大規模な窃盗団によって実行されるケースがほとんどです。正規の中古車販売業者が盗難車の売買に関与する悪質な例も存在します。盗まれた車両はそのまま輸出されることもありますが、パーツに分解されて密輸出される例も少なくありません。

高級ブランドの輸入車が多数盗まれる一方、日本車も高級モデルやスポーツカーが標的となります。特に、日本と同じ左側通行の国々へ輸出されることが多いようです。

近年、日本国内で特に盗難被害が目立つ車種としては、以下のようなものがあります。

トヨタ・ハイエース: 貨物や人員輸送など多目的に使える実用性の高さから、海外、特に発展途上国で絶大な人気を誇ります。「低燃費で故障しにくく丈夫な日本車」という世界的な評価が、逆に盗難を招く要因ともなっています。
トヨタ・ランドクルーザー: ハイエースと同様の理由に加え、舗装路でない道でも走破可能なタフさと高級感を兼ね備えているため、テクニカル（武装車両）への転用や、公共交通が未発達で山岳地帯の多い左側通行の国々（南アジア、中央アジア、東南アジアなど）で需要が高いです。
三菱・ランサーエボリューション: 特に北米での人気が非常に高く、日本国内に状態の良い個体が多いことから狙われやすい傾向にあります。
日産・スカイラインGT-R: 中でもR32型は年式の割に高価で取引されており、近年はアメリカの「25年ルール」により合法的に輸入可能となったことで、自動車窃盗の代表的なターゲット車種として知られています。
スズキ・ワゴンR: 日本国内で中古車が大量に流通し価格が安いため、東南アジアやアフリカといった貧困層が多い地域での移動手段として最適です。この需要の高さから盗難に遭うケースが少なくありません。

空き巣窃盗団

住宅への侵入窃盗を行う窃盗団も存在します。日本人だけでなく、中国や韓国系を含むアジア人が構成員となることがあります。彼らはピッキング、サムターン回し、窓破りといった手口を駆使して家宅に侵入し、現金や貴金属だけでなく、高価なパソコンや電子機器、さらにはそれらに含まれるデータを狙います。

爆窃団（ばくせつだん）

アジア各国で流行し、日本でも社会問題となった荒っぽい手口の窃盗団です。店舗の外壁に油圧ジャッキや電動ドリルなどを用いて強引に穴を開け、短時間で貴金属や宝石類を根こそぎ奪い去ります。日本語の「爆窃団」という呼称は、中国語で「空き巣」を意味する「爆竊」とは語感が異なり、日本のメディアがその凶悪な手口から名付けたものです。

爆窃団は中国や香港に拠点を持ち、国内外を移動しながら犯行を繰り返す、いわゆる「ヒット・アンド・アウェー」方式で活動しました。日本国内でも、2010年に銀座の時計店から約2億5千万円相当の高級腕時計が盗まれた事件や、同年の池袋の百貨店での腕時計盗難事件など、同様の手口による被害が発生しています。

このように、窃盗団は高度に組織化され、様々な手口を用いて私たちの財産を狙っています。その対策には、個人の注意だけでなく、国際的な連携や技術的な防犯強化が不可欠です。

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