紋穂内駅

紋穂内駅：宗谷本線沿線の歴史を刻んだ駅

北海道中川郡美深町字紋穂内に位置していた紋穂内駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）宗谷本線の駅でした。2021年3月13日、長きにわたる歴史に幕を閉じ、廃止となりました。

開業から廃止まで

1911年（明治44年）、天塩線名寄駅～恩根内駅間の開業と同時に紋穂内駅が開業しました。当初は美深駅長の監督下、駅員1名配置の一般駅で、貨物の取扱いは制限されていました。その後、1949年（昭和24年）には日本国有鉄道に移管されました。

1977年（昭和52年）に貨物取扱いを廃止、1984年（昭和59年）には荷物取扱いが廃止となり、交換設備も廃止されて無人駅となりました。同年には、開業以来の木造駅舎が解体され、貨車駅舎に建て替えられました。1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化によりJR北海道の駅となりました。そして、長年の利用者減少とダイヤ改正を背景に、2020年（令和2年）に美深町が駅の廃止を容認、2021年3月13日をもって廃止となりました。廃止時点では、上り最終列車は紋穂内駅を通過していました。

駅名の由来

駅名は所在地名に由来しています。アイヌ語の「モヌプオナイ（mo-nup-o-nay）」、「モオヌㇷ゚ナイ（mo-o-nup-nay）」、「モムポナイ」など、諸説が伝えられています。いずれも、現在のパンケニウプ川を指す名称であると考えられています。1898年（明治31年）の地形図には「モヌッポナイ」という表記も見られます。

駅構造

紋穂内駅は、単式ホーム1面1線の地上駅でした。車掌車駅舎が使用されていました。開業当初は、木造駅舎と千鳥式ホーム2面2線、そして副本線を有する一般駅でしたが、晩年は1面1線に縮小され、無人駅としてその歴史を終えました。

利用状況と周辺環境

利用者数は年々減少していました。駅周辺には、北海道道445号紋穂内停車場線、天塩川、国道40号、道の駅びふか、びふか温泉、名士バスの停留所などがありました。

廃駅後の動き

紋穂内駅を含む美深町内の無人駅3駅が廃止されたことを受け、地元の若手住民で構成される「美深廃駅プロジェクト」が、これらの駅を舞台とした記録映像の制作を開始しました。クラウドファンディングも実施され、駅のイラストが描かれた返礼品も作成されました。このプロジェクトは、地域の記憶を未来へと繋ぐ取り組みとして注目を集めました。

隣の駅

初野駅
恩根内駅

紋穂内駅は、宗谷本線の歴史を物語る、多くの思い出が詰まった駅でした。その存在は、地域の人々の記憶に深く刻み込まれ、廃線跡地は新たな物語を紡ぎ始めています。

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