胡軫

胡軫（こ しん）について

胡軫は、中国後漢時代末期に生きた武将であり、具体的な生没年は不明である。彼の字は文才であり、涼州の出身である。歴史に名を残した彼の行動は、董卓に仕えた武将として知られている。

正史における胡軫の事跡

胡軫は最初に陳郡の太守に任命され、その後、董卓のもとで重要な役割を果たす。彼は、初平2年（191年）に孫堅が董卓を攻めるために陽人に進攻してきた際、大督護としての任務を受けることとなった。また、彼は呂布と共に敵軍を迎撃する態勢を整えた。

しかし、胡軫はその武勇には定評があったものの、性格面では傲慢で短気な一面を持っていたため、部下からの信頼を得ることができず、また呂布との関係も悪化していた。結果として、彼の軍は未だ戦闘準備が整わないまま、孫堅軍に対する戦闘を行う羽目となり、結局は華雄を討たれるなど、陽人の戦いで敗北を喫することとなる。

翌年、董卓が亡くなると、胡軫は王允の命により、徐栄や楊定と共に李傕討伐に向かった。しかし、この二人は王允の傲慢な態度に反感を抱き、李傕に降伏する結果となってしまった。この時、胡軫もその傾向に従って降伏を選ぶことになり、忠誠心を失った形となった。

また、盧弼の『三国志集解』によれば、同じ胡軫という名の司隷校尉が存在したことが言及されている。彼は任期中に、かつてから仲が悪かった馮翊郡の功曹である游殷を冤罪で処刑するが、その後、病にかかり亡くなる際には「私が悪うございました」と吐露しながら息を引き取った。この出来事により、胡軫の死後、人々は游殷を称賛するようになった。

小説『三国志演義』における胡軫

胡軫は、フィクションである小説『三国志演義』にも登場する。物語の中では、彼は董卓討伐軍が挙兵した際、華雄の副将として孫堅の軍と対峙する場面が描かれている。だが、小説では彼が討ち取られてしまう描写があるものの、実際の歴史では華雄が胡軫の部下であったことが正しい。

胡軫の生涯は、武勇と傲慢さ、そして最終的には自らの行動による信頼喪失が際立つものであり、彼の名は歴史と文献に残されることとなった。ただ、彼の行動と結果は、歴史を読み解く上で一つの教訓とも言えるかもしれない。

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