脇侍の意義と三尊形式
脇侍(きょうじ・わきじ)は、
仏教における重要な存在であり、
仏教彫刻や絵画においては、中央に位置する中尊を左右から護る
菩薩や
明王、天などを指します。彼らは中尊の教化活動を補佐する役割があり、脇士や夾侍とも呼ばれます。
三尊形式の概要
中尊と脇侍が組み合わさった「三尊形式」は
仏教彫刻の中でもよく見られる形式です。一般には中尊を中心に左右に脇侍が配置されますが、その組み合わせは必ずしも固定されているわけではありません。「左脇侍」と「右脇侍」という用語は、中尊から見た位置に基づいており、観者から見るとその逆になることを理解しておく必要があります。
宗派別の三尊形式
日蓮宗では、大曼荼羅の本尊において、中尊は「南無妙法蓮華経」と唱えられる
題目であり、脇侍には二大
明王、すなわち
不動明王と愛染
明王が配置されています。
釈迦三尊では、中央に
釈迦如来が据えられ、多くの場合左脇侍には
文殊菩薩、右脇侍には
普賢菩薩が位置しています。
興福寺の中金堂では、薬王
菩薩と薬上
菩薩が脇侍を務める場合などもあります。
阿弥陀三尊では、中尊が阿弥陀
如来で、その脇侍は原則として左に観音
菩薩、右に
勢至菩薩です。ただし、真宗系では阿弥陀
如来一尊の立像が本尊とされ、脇侍は存在しないことが多いです。
この形式では、中尊に薬師
如来があり、左脇侍には
日光菩薩、右脇侍には
月光菩薩が配されます。時には、薬師
如来を守護する
十二神将が配置されることもあります。
不動三尊
不動三尊においては、中尊が
不動明王で、左に
矜羯羅童子、右に
制多迦童子が配置されるのが一般的です。
坐像と立像の組み合わせ
仏像において中尊と脇侍の配置は、坐像や立像の形態によってさまざまなスタイルが存在します。
- - 中尊が坐像、脇侍が立像: これは最も一般的な形態です。
- - 中尊と脇侍どちらも立像: 善光寺式阿弥陀三尊像のように、各地で見られます。
- - 両者とも坐像: 法隆寺の釈迦三尊像や清凉寺の阿弥陀三尊像があります。
- - 中尊が坐像、脇侍が半跏踏み下げ像: 奈良の長岳寺や興福院などで見られます。
その他の類型
文殊菩薩の五尊形式では、獅子に乗った
文殊菩薩が中心で、周囲には4人の侍者が配置されます。また、
聖徳太子の像では、
聖徳太子を中心に複数の侍者が配置されています。
まとめ
脇侍は中尊を補佐し、信仰の中心となる存在です。その形式や配置は多様で、宗派や地域によって異なる場合があります。
仏教彫刻の中で脇侍が果たす役割は、信者に対する教化や守護を象徴しているのです。