自玉手祭来酒解神社

自玉手祭来酒解神社：歴史と神秘に包まれた天王山の社

京都府乙訓郡大山崎町、天王山の山頂近くに鎮座する自玉手祭来酒解神社（たまでよりまつりきたるさかとけじんじゃ）。通称、酒解神社（さかとけじんじゃ）として親しまれています。古くから人々の信仰を集め、歴史と神秘に彩られたこの神社は、数々の貴重な文化財を有する、由緒ある社です。

祭神と由緒

主祭神は大山祇神、相殿には素盞嗚尊が祀られています。創建の正確な時期は不明ですが、養老元年（717年）の棟札の存在から、奈良時代の創建と推測されています。元々は山崎神・酒解神が祀られており、橘氏の祖神であったという説もあります。現在の素盞嗚尊は、かつて祀られていた天神八王子社の祭神、牛頭天王を神仏分離の際に改称したものです。

平安時代の延喜式神名帳には「山城国乙訓郡 自玉手祭来酒解神社 元名山埼杜」と記され、官幣名神大社として、月次、新嘗の幣帛に預かっていたことが分かります。その後、祭祀は途絶え、明治時代までその所在は不明でした。

現在の社地は、中世頃より天神八王子神（牛頭天王）を祀る「山崎天王社」があった場所です。天王山は、元々は山崎山と呼ばれていましたが、この神社にちなんで天王山と呼ばれるようになったと伝えられています。明治10年6月、山崎天王社が式内・自玉手祭来酒解神社であると確認され、現在の社名に改称されました。大山祇神が祭神に加えられたのもこの時です。

貴重な文化財

神社境内には、数多くの貴重な文化財が保存されています。

神輿庫: 国の重要文化財に指定されている鎌倉時代建立の板倉造りの神輿庫は、その建築様式からも歴史的価値が高く評価されています。
本殿: 国の登録有形文化財に登録されています。
* 神輿（2基）: 室町時代以前の作と推定される神輿も大切に保管されています。

これ以外にも、摂末社である後見社、宮主社、三社宮（天照大神社、月讀社、蛭子社、厳島社）など、多くの社が境内には点在し、それぞれに由緒があります。

境内と周辺

天王山の山頂にある境内からは、雄大な景色を一望できます。静寂に包まれた境内は、歴史と自然に思いを馳せるのに最適な場所です。周辺には、山崎の合戦跡、十七烈士の墓、離宮八幡宮、妙喜庵、待庵、大山崎山荘美術館、大山崎町歴史資料館など、歴史的建造物や文化施設が点在し、一日かけて歴史と文化に触れる旅を楽しむことができます。また、サントリー山崎蒸溜所も近隣に位置しており、観光の選択肢も豊富です。

例祭とアクセス

例祭は5月3日～5日に行われ、神輿の巡行は隔年で5月5日に行われます。年越祭は12月31日に行われます。アクセスは、阪急京都線大山崎駅またはJR京都線山崎駅から徒歩40分です。

同じ酒解神を祀る神社

京都市右京区にある梅宮大社も、同じ酒解神を祀る神社として知られており、両社の間には何らかの関連性が指摘されています。

自玉手祭来酒解神社は、歴史の重みと自然の静寂を感じることができる、貴重な場所です。京都を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

もう一度検索