興津駅

興津駅 (Okitsu Station)

興津駅は、静岡県静岡市清水区興津中町に位置する、東海旅客鉄道（JR東海）東海道本線の駅です。駅番号はCA13。

歴史

東西を結ぶ鉄道計画において、東京～名古屋・岐阜間のルートが東海道経由に変更された際、東海道五十三次の宿場町であった興津宿は、その恩恵を享受しようと熱心な誘致活動を展開しました。その結果、路線の開業とともに興津駅が誕生しました。

駅の開設に際しては、近隣の清見寺の境内の一部が鉄道敷地として提供されました。現在でも、東京方面から興津駅を過ぎると、清見寺の総門と本堂の間を東海道本線が横切る様子を見ることができます。清見寺は明治天皇、大正天皇の休憩所としても利用され、特に大正天皇が興津を気に入ったことから、避寒地として注目されるようになりました。

明治から大正期にかけては、井上馨や西園寺公望といった政財界の重鎮が興津に別荘を構え、興津駅は彼らの利用駅として賑わいました。井上馨は地域の発展に尽力し、興津駅を急行列車の停車駅に昇格させました。西園寺公望は最後の元老として隠然たる権力を持っていたため、政府高官らが彼を訪れるために興津駅を利用し、「興津詣で」と呼ばれました。西園寺の利用に備え、専用の優等車両が配置されていたという逸話も残っています。その他、松方正義、伊藤博邦、川崎正蔵、大倉喜八郎らも別荘を構え、この地を愛しました。

由比駅との間にある薩埵峠付近は、海岸と山に挟まれた地形のため、土砂災害が頻発する区間です。1974年の七夕豪雨では、線路に大量の土砂が堆積し不通となり、興津駅で折り返し運転が行われました。

年表

1889年（明治22年）2月1日：官設鉄道（現在の東海道本線）の駅として開業
1895年（明治28年）4月1日：東海道線の所属となる（1909年に東海道本線に改称）
1930年（昭和5年）4月18日：駅舎を改築
1980年（昭和55年）10月1日：車扱貨物の取扱を廃止
1981年（昭和56年）10月24日：現在の駅舎が完成
1985年（昭和60年）3月14日：チッキの取扱を廃止
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により、JR東海が継承
2008年（平成20年）3月1日：TOICAのサービス開始

駅構造

単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線を有する地上駅です。1・2番線が本線、3番線が副本線となっています。3番線からは保線車両留置用の側線が分岐しています。2つのホームは跨線橋で連絡しています。

興津駅は、運行上の拠点となっており、折り返し列車が多数設定されています。3番線は折り返し専用で、1日1本を除きすべて折り返し列車です。2020年のダイヤ改正以降、通過待ちには使用されなくなりました。3番線には3 - 6両編成の列車が入線可能です。そのため、6両を超える編成の上り列車は、静岡駅で編成を短縮する場合があります。

JR東海交通事業の職員が業務を担当する業務委託駅であり、清水駅が当駅を管理しています。駅舎は構内南側の単式ホーム（1番線）に接しており、待合所、JR全線きっぷうりば、自動券売機、簡易型自動改札機などが設置されています。早朝・夜間は無人となります。かつては売店がありましたが、現在は閉店・撤去されています。

のりば

1番線：下り（由比・富士・沼津方面）
2番線：上り（静岡・浜松方面）
3番線：上り（折り返し列車のみ）

2014年の台風18号により、当駅 - 由比駅間が不通になった際は、全列車が当駅で折り返しました。

利用状況

静岡県統計年鑑によると、2021年度の1日平均乗車人員は1,710人です。

駅周辺

駅前にはロータリーがあり、しずてつジャストラインの路線バスが発着しています。

250系統：三保山の手線（清水駅方面 / 但沼車庫方面）

隣の駅

東海旅客鉄道（JR東海）

東海道本線
■快速（臨時列車扱い、下りのみ運転）：通過
■普通：由比駅 (CA12) - 興津駅 (CA13) - 清水駅 (CA14)


興津駅から2.4km清水寄りには、1926年 - 1964年の間、海水浴シーズンに臨時駅として袖師駅が設けられていました。

脚注

関連項目

日本の[[鉄道駅]]一覧
さわやかウォーキング
するがシャトル
阿房列車
鉄道と政治

外部リンク

* JR東海 興津駅

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