藤原敦光

藤原敦光（ふじわら の あつみつ）は、平安時代後期に活躍した貴族、文人、そして儒学者です。藤原式家の出身で、右京大夫・藤原明衡の子として生まれました。官位は正四位下・式部大輔にまで昇っています。

生涯

敦光は、4歳という幼さで父・明衡を亡くし、その後は兄の敦基の養子として育てられました。嘉保元年（1094年）には官吏登用のための対策に及第し、承徳2年（1098年）に式部丞に任官されました。その後、大内記、文章博士、大学頭といった要職を歴任し、保安3年（1122年）には式部大輔に任命されています。

特に、敦光は漢文の才能に長けており、その能力は高く評価されていました。保延元年（1135年）に発表された天変地異、飢饉、盗賊に関する「勘申」をはじめ、数多くの漢文を書き残しています。その文章力は、堀河天皇、鳥羽天皇、崇徳天皇の三代にわたって侍読として仕え、多くの詔勅を起草するほどでした。しかし、その儒官としての功績にも関わらず、参議への任官は叶いませんでした。

天養元年（1144年）4月には病のため出家し、その年の10月28日に82歳でその生涯を閉じました。

作品と著作

敦光は、数多くの漢文、漢詩、和歌を遺しており、その作品は後世にまで伝えられています。

漢文
『本朝続文粹』に「柿本朝臣人麿画讃」「白山上人縁起」を含む51編が収録されています。
『朝野群載』、『表白集』には80編以上の漢文が収録されています。
漢詩
『本朝無題詩』には60編以上の漢詩が収録されています。
和歌
『金葉和歌集』には2首の和歌が収録されています。

また、『続本朝秀句』や『本朝帝紀』といった著作もあったとされていますが、残念ながらこれらは散逸してしまっています。

系譜

敦光の系譜は以下の通りです。

父: 藤原明衡
母: 平実重の娘
妻: 源親長の娘
男子:
藤原有光（1099年 - 1177年）
藤原長光（1101年 - 1187年以降）
藤原成光（1111年 - 1180年）
藤原邦光
生母不詳の子女:
淳仁
喜覚
光縁
明覚
顕豪
光猷
頼円
女子（号姫子）
女子（氏名不詳）

出典

この記述は、以下の文献を参考にしています。

『本朝続文粹』（黒板勝美編『新訂増補国史大系』、第29下巻所収）
『朝野群載』（黒板勝美編『新訂増補国史大系』、第29上巻所収）
『古今著聞集』（黒板勝美校訂、岩波文庫、1940年）
『古事談』（小林保治校注、現代思潮新社、2006年）
藤岡作太郎『国文学全史』・4（講談社学術文庫、1977年）
中川徳之助「詩・酒・仏」（『国文学攷』15、1956年）
大曾根章介「院政期の一鴻儒 －藤原敦光の生涯－」（『国語と国文学』第54巻の8、1977年）

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