虹の松原

虹の松原

佐賀県唐津市の唐津湾沿岸に広がる「虹の松原」は、幅約500m、長さ約4.5kmにわたり、約100万本のクロマツが弧状に連なる壮大な松原です。その美しい景観は、日本三大松原の一つとして知られ、特別名勝にも指定されています。また、「日本の白砂青松100選」、「日本の渚百選」、「かおり風景100選」、「日本の道100選」にも選ばれており、その価値は高く評価されています。玄海国定公園の一部であり、約216haの広さを誇ります。海水浴場に隣接していることも特徴です。

歴史

虹の松原は、17世紀初頭に唐津藩主の寺沢広高が、新田開発の一環として防風林、防砂林として植樹したのが始まりです。藩の厳格な管理下では、伐採は死罪、落葉の採取も制限されていました。藩主が変わっても、その保護政策は継続されました。寺沢広高は、松原の中に7本の特別な松があると言い、住民にどの松か分からないようにすることで、すべての松を大切にさせたという逸話が残っています。藩政時代には、その長さから「二里松原」と呼ばれていました。明治時代以降に「虹の松原」と呼ばれるようになった理由は不明です。

1771年には、農民による反乱「松原寄り（虹の松原一揆）」の舞台にもなりました。明治維新後は国有林となり、現在は佐賀森林管理署が管理しています。ほとんどの地域が保安林に指定されており、伐採は制限されています。2019年には、倒木による死亡事故が発生したことを受け、一部の松が伐採されましたが、危険と判断された松は現在も残っています。

交通

鉄道では、JR筑肥線の虹ノ松原駅が最寄りです。道路では、佐賀県道347号虹の松原線（旧国道202号）が松原を抜けており、「日本の道100選」にも選ばれています。

マツクイムシの被害

1960年代以降、マツノマダラカミキリが媒介するマツ材線虫病の被害が拡大し、松の大木が立ち枯れる事態が深刻化しました。このため、ヘリコプターによる薬剤散布や被害木の伐倒処理が毎年行われ、松原の維持には多大な費用と労力が費やされています。

2006年度には、佐賀県と森林管理署によって被害箇所の点検と薬剤散布が行われました。

虹の松原七不思議

虹の松原には、様々な不思議な言い伝えがあります。これらは市民団体などが学習活動に利用していますが、中には歴史的事実と異なる内容も含まれています。内容は一定ではなく、時代によって変化が見られます。

画像

出典

日本の道100選

参考文献

「日本の道100選」研究会 著、国土交通省道路局（監修） 編『日本の道100選〈新版〉』ぎょうせい、2002年6月20日、196－197頁。ISBN 4-324-06810-0。

関連項目

佐賀県の観光地
白砂青松
美しい日本の歩きたくなるみち500選
からつバーガー
唐津シーサイドホテル
東唐津

外部リンク

1977年4月、第80回国会農林水産委員会（虹の松原のマツクイムシ被害が取り上げられた）

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