街灯

街灯とは

街灯とは、道路や公園などの公共空間を照らすために設置される照明器具の総称です。防犯灯や街路灯など、様々な種類があり、設置場所や目的に応じて使い分けられています。

現在、街灯の多くは電灯ですが、歴史的にはガス灯が先に使われていました。近年では、省エネルギーや維持費削減のため、LEDを光源とする街灯が増えています。また、街灯は照明柱として、電柱や信号柱などと一緒にユーティリティポールとしてまとめられることもあります。

街灯の歴史

夜間の公共照明の歴史は、16世紀のヨーロッパに始まりました。当初は、道路に面した家の位置を示すためのもので、窓にランタンを吊るす程度のものでした。1667年、パリで初めて街路に沿ってランタンが設置され、これが街灯の始まりとされています。初期の街灯は蝋燭を光源としていましたが、18世紀には油が使われるようになり、ガス灯が登場するまでは、夜の街はまだ暗い状況でした。

1792年、イギリスでウィリアム・マードックが石炭ガスを利用したガス灯を開発しました。ガス灯は油灯よりも明るく、点灯も容易であったため、急速に普及しました。1797年には、マンチェスターにガス灯が設置され、その後、19世紀半ばには世界の主要都市で使われるようになりました。

日本では、江戸時代から街灯の役割を果たす灯りが存在しました。町屋の店先や辻番所に辻行灯が置かれたり、遊郭の門前に木灯籠や石灯籠が設置されたりしました。これらの灯りは油や蝋燭を光源としており、現在のような明るさはありませんでしたが、夜間の犯罪防止や目印としての役割を果たしていました。

1872年、横浜でガス灯が導入されました。実業家の高島嘉右衛門が県庁からの依頼でガス灯を設置し、これが日本における近代的な街灯の始まりとされています。その後、東京の銀座にもガス灯が設置され、徐々にその数を増やしていきました。ガス灯は街灯としての役割だけでなく、商店の照明や舞台照明、博覧会のイルミネーションなどにも利用され、人々の夜の活動を広げました。明治中期には、ガスマントルを使った白熱ガス灯が登場し、さらに明るい光を街に提供しました。

電気を光源とする街灯は、1882年に東京の銀座に設置されたカーボンアーク灯が最初です。その明るさはガス灯の10倍以上もあり、当時の人々を驚かせました。1915年には、白熱[[電球]]を使った街灯が発売され、1921年には新橋・京橋間に丸型グローブの2灯用街灯が148基設置されました。その後、自動車の普及に伴い、道路照明の必要性が高まり、急速な発展を遂げました。

昭和10年代には、高圧水銀ランプやナトリウムランプが開発され、街灯に利用されるようになりました。特に、ナトリウムランプは効率が高く、道路照明に適していましたが、顔色が奇異に見えるため、普及は限定的でした。昭和戦前には、スズラン灯と呼ばれるデザインの街灯が広く使われました。第二次世界大戦中は、灯火管制により街灯の使用が制限され、多くの街灯が撤去されました。

終戦後、街灯は徐々に復活し、蛍光水銀ランプや高圧ナトリウムランプが道路照明に利用されるようになりました。平成以降は、LED照明や無電極ランプなどの新しい光源が採用され、特にLED街灯は急速に普及しました。

現代の街灯と課題

現代の街灯は、コンピュータによる自動制御が一般的です。また、近年ではLED照明が主流になり、省エネルギーや長寿命化が図られています。しかし、一方で、夜間の照明が明るすぎることで、天体観測や動植物への影響が懸念される光害の問題も発生しています。

光害対策として、街灯の点灯方式の工夫や、光源の色温度の調整などが試みられています。例えば、夜間の交通量が少ない時間帯には、照明を暗くしたり、一部を消灯したり、センサーで人や車の動きを感知して明るさを調整するインテリジェント照明が導入されています。

日本では、星空保護区に認定されている地域では、上方光束率0%かつ色温度3000K以下の「星空に優しい照明」を採用しています。このような取り組みによって、夜空の暗さと安全な照明の両立が目指されています。

街灯の種類

街灯には、様々な種類があります。

街路灯：道路や歩道を照らすための基本的な街灯です。
防犯灯：主に住宅街や公園などに設置され、防犯を目的とした街灯です。
道路照明灯：自動車が走行する道路を照らすための街灯です。
ガス灯：石炭ガスを光源とする歴史的な街灯です。

まとめ

街灯は、私たちの生活に欠かせないインフラです。歴史的な変遷を経て、現代のLED照明へと進化を遂げてきました。今後は、省エネルギーや光害対策に配慮しつつ、より安全で快適な夜間環境を提供していくことが求められています。

参考資料

街灯 - Wikipedia

関連項目

夜景
光害
LED照明
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