超歌舞伎

超歌舞伎：伝統と最新技術の融合

超歌舞伎は、バーチャルシンガーである初音ミクと歌舞伎役者の中村獅童を中心に、最新テクノロジーを駆使して制作される新しい歌舞伎の形です。松竹とドワンゴが制作を手掛け、日本電信電話（NTT）が特別協賛と技術協力を、クリプトン・フューチャー・メディアが制作協力をしています。

概要

2016年に『ニコニコ超会議2016』内で初演され、デジタル・コンテンツ・オブ・ザ・イヤー'16／第22回AMDアワードで大賞／総務大臣賞を受賞しました。2019年と2021年には京都南座で公演が行われ、2022年には福岡・博多座、名古屋・御園座、東京・新橋演舞場、京都・南座と、劇場公演が全国4か所に拡大されました。2022年の『ニコニコ超会議』内での超歌舞伎では、過去作品の配信と本公演を合わせたネット総来場者数が100万人を突破。本公演『永遠花誉功』には、中村獅童の長男・小川陽喜がサプライズ出演しました。

2023年の『ニコニコ超会議2023』では、幕張メッセ公演で初のリミテッドバージョンが実施され、千秋楽には2023年12月に東京・歌舞伎座で公演されることが発表されました。歌舞伎座では『十二月大歌舞伎』の第一部として『今昔饗宴千本桜』が上演され、中村獅童の次男・小川夏幹が初お目見得を果たしました。歌舞伎座公演ではNTTの最新技術「APN IOWN1.0」が導入され、遠隔地の演者の動きをリアルタイムで初音ミクに反映することで、舞台上でのアドリブなど、これまで不可能だった演出が実現しました。

公演の特色

超歌舞伎の大きな特徴は、スクリーンに投影されたCGキャラクターと実際の役者が同じ舞台上で共演することです。キャラクターの投影には、会場によって透過スクリーンまたは白い生地のスクリーンが使用されます。

観客は、出演者ごとに指定された色のペンライトを振って応援します。この応援スタイルは観客が自発的に始めたものですが、客席参加型の演出として取り入れられ、ペンライトの点灯を促す台詞も加えられています。

大向こうの掛け声は、本来禁止されている女性を含め、誰でも好きなタイミングでかけることができます。出演者の屋号に加え、掛け声も定着しています。

コロナ禍で開催された2021年と2022年の公演では、感染症対策として観客は声を出せない形式となりました。そのため、大向こうの音声を発する機能が付いた「大向う付オリジナルペンライト」が劇場公演グッズとして販売されました。

ニコニコ超会議では、ニコニコ生放送の視聴者が入力したコメントが会場にも投影され、声援の代わりとなります。視聴者のコメントを誘発するための台詞も演出として取り入れられており、歌舞伎の約束事などを解説するコメントをするユーザーもいます。

主な演目

今昔饗宴千本桜
黒うさPの楽曲「千本桜」と歌舞伎『義経千本桜』をモチーフにした作品
花街詞合鏡
歌舞伎『御所五郎蔵』の要素を取り入れた作品
積思花顔競
歌舞伎舞踊『積恋雪関扉』に着想を得た作品
御伽草子戀姿絵
土蜘伝説を題材にした作品
永遠花誉功
『妹背山婦女庭訓』と楽曲「初音ミクの消失」を基にした書き下ろし作品

メディア展開

超歌舞伎は、NHK Eテレ『にっぽんの芸能』で紹介されたり、PlayStation VR専用アプリケーションとして『花街詞合鏡』が配信されたりするなど、様々なメディアで展開されています。また、スマートフォン向けゲームアプリ『＃コンパス 戦闘摂理解析システム』や、タクシー配車アプリS.RIDEとのコラボレーションも行われています。

超歌舞伎は、伝統芸能である歌舞伎と最新テクノロジー、そしてバーチャルシンガーという異質な要素を組み合わせることで、新たなエンターテイメントの可能性を切り開いています。

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