近江舞子

近江舞子（おうみまいこ）

概要

近江舞子は、滋賀県大津市の琵琶湖岸に位置する景勝地で、別名「雄松崎（おまつざき）」とも呼ばれています。北は北小松から南は南比良まで続く琵琶湖岸に、美しい弦月状の砂浜が広がっており、その内側には内湖があります。約3キロ[[メートル]]にわたり、1500本以上の松が茂る白砂青松の景観が特徴的で、これは花崗岩が風化してできたものです。

琵琶湖八景の一つ「涼風・雄松崎の白汀」にも選ばれており、その美しい風景は多くの人々を魅了しています。また、兵庫県神戸市垂水区にある舞子の名前に由来し、「近江舞子」と呼ばれるようになりました。

地理と環境

近江舞子の砂浜は、背後の比良山地から流れ込んだ花崗岩の風化によって形成されました。風化した花崗岩が、荻の浜から近江舞子を経て蓬莱まで、白砂の美しい砂浜を形作っています。しかし、近年では樹木の伐採減少や河川改良により、琵琶湖に供給される土砂が減少し、砂浜の浸食が問題となっています。

特に台風などによる浸食が顕著で、砂浜に段差ができる「浜崖」も出現しており、最大で1メートルほどの段差が発生することもあります。この状況を受け、滋賀県は2026年度から突堤整備や砂の補充などの対策工事に着手する予定です。

琵琶湖湖岸では、湖底がすり鉢状になっているため深浅が激しく、遊泳可能範囲を示すブイの内側でも水深が2～3メートルになることがあります。近江舞子でも死亡事故が発生しているので、遊泳には十分な注意が必要です。

観光とリゾート

近江舞子は、夏にはウィンドサーフィンや水泳を楽しむことができる有数のリゾート地として知られています。明治時代からハス網漁の観覧で観光客を集め、昭和初期には江若鉄道や太湖汽船が水泳場として宣伝したことで、さらに多くの人々が訪れるようになりました。

太湖汽船は遊覧船を寄港させ、近江舞子は湖上遊覧の拠点ともなりました。近年では、アジアや欧米など海外からの観光客も多く訪れており、2018年にはシーズン中の利用者の約3割が外国人であったという記録があります。ただし、2021年の新型コロナウイルス感染症の流行時には、駐車場を縮小し、感染対策を呼びかけるなどの措置が取られました。

周辺にはリゾートホテルや民宿が立ち並び、休暇を楽しむのに最適な場所です。また、かつてはアメリカ占領軍専用の保養地であった時期もありました。その後、開発計画が進められましたが、名勝地指定の影響で一時中断されました。その後、地元や企業が協力して開発を進め、キャンプ場や駐車場などが整備されました。

近年では、グランピング施設「エバーグレイズ琵琶湖」がオープンし、新たなリゾートの形を提供しています。

水泳場

夏季には水泳場が開設され、多くの人々が水泳やバーベキュー、釣り、キャンプなどを楽しんでいます。水上バイクと遊泳客との接触事故を防ぐため、遊泳区域が設定されています。

水泳場には更衣室、ロッカー、トイレ、交番などの公共サービスが整備されており、夏季には警察官や水泳場スタッフが常駐します。かつては観光客の増加に伴い、水難事故や傷害事件、青少年による非行問題が多発したため、交番が設置されました。

近江舞子水泳場は地元観光協会が管理しており、シーズン中は地元住民が運営にあたっています。また、地域住民による清掃活動も行われています。

滋賀県による水質調査では、近江舞子の水質は良好と判定されています。

比良八講

毎年3月26日には、近江舞子で「比良八講」と呼ばれる行事が行われます。これは天台宗の僧侶が、水難者を供養し、琵琶湖の安全を祈願するものです。

また、比良山から吹く突風「比良八講荒れじまい」は、かつて比良山にあった天台宗の寺院で法華経を講読する法華八講が行われていたことに由来すると言われています。悲恋で琵琶湖に身を投げた娘の供養の意味も込められています。

交通

近江舞子へは、湖西線近江舞子駅から徒歩5分、国道161号（志賀バイパス）近江舞子ランプから琵琶湖方面へ行くことができます。

かつては江若鉄道も利用できましたが、現在は廃線となっています。近江舞子駅は、1926年に雄松駅として開業し、その後、近江舞子駅に改称されました。また、近江舞子南口駅は、当初は夏季のみの臨時駅でしたが、国民宿舎開設に伴い常設駅となりました。

近江舞子の歴史

近江舞子は、古くから琵琶湖の美しい景観地として知られていましたが、明治時代以降、観光地としての開発が進められました。特に昭和初期には、江若鉄道や太湖汽船が積極的に宣伝を行い、水泳場として広く知られるようになりました。戦後にはアメリカ軍専用の保養地となった時期もありましたが、その後、地元や企業によってリゾート地として開発が進められ、現在に至ります。

しかし、近年では砂浜の浸食や施設の老朽化といった課題も抱えており、今後の持続可能な観光開発が求められています。

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