迫川

迫川：宮城県を潤す歴史と自然の川

迫川は、宮城県栗原市と登米市を流れ、北上川水系旧北上川の支流として重要な役割を担う河川です。栗原市の一迫川合流点より上流では、一迫川という名称でも知られています。

迫川の地理：変化に富む河川の姿

迫川の源流は、栗駒山の南麓に位置する麝香熊沢です。ここから流れ出した水は、渓流を集めながら母沢となり、湯浜温泉の上流では上滝と下滝を形成。その後、V字谷を刻みながら流れ下ります。湯の倉温泉を過ぎると南へと大きく流れを変え、温湯温泉では一部の水が隧道用水として分水されます。山沿いを流れ下る迫川は、浅布渓谷という美しい渓谷を形成し、氾濫原跡を蛇行しながら花山湖へと注ぎ込みます。

花山ダムで流量調整された後、迫川は多くの支流と合流しながら流れを続け、自然堤防跡に沿って「若柳狭窄部」や「佐沼狭窄部」といった地形的な特徴をなぞります。そして、旧迫川捷水路を経て、登米市豊里町剣先で旧北上川に合流します。北上川第二の支流という位置づけであり、流域面積は913平方キロ[[メートル]]、延長は87.4キロ[[メートル]]に及びます。一級河川に指定されている迫川は、中下流部が極めて低湿地帯であることから、古くから水害に悩まされてきた歴史を持ち、宮城県屈指の難治河川として知られています。

迫川の治水：度重なる水害と人々の努力

下流域における度重なる水害を軽減するため、昭和7年（1932年）4月から昭和15年（1940年）3月にかけて大規模な治水事業が行われました。山吉田（山吉田橋付近）から剣先（のの岳駅付近）までの約11.7キロ[[メートル]]にわたり、川幅の広い新迫川が開削され、河川の流れはほぼ一直線に改修されました。

しかし、自然の力は依然として脅威でした。昭和22年（1947年）の増水時には、支流である夏川で、住民が自らの村を守るために隣町（石森町）の堤防を破壊するという極端な措置を取った事例も記録されています。迫川本流でも、多くの場所で堤防が決壊しました。これらの決壊は故意によるものではありませんでしたが、決壊時には、助かった住民の歓声や万歳の声が響き渡ったという記録が残っており、当時の状況の緊迫感と、生き残った人々の安堵感がうかがえます。

迫川と地域社会：交通と生活を支える川

迫川流域には、宮城県道36号築館登米線、国道398号、宮城県道1号古川佐沼線、国道346号、宮城県道15号古川登米線、宮城県道237号瀬峰豊里線、宮城県道61号涌谷津山線など、多くの道路が整備され、地域社会の交通網を支えています。また、迫川には、徳富橋、迫川橋梁（東北新幹線）、若柳大橋、若柳第二大橋、迫川橋梁（JR東北本線）、若石大橋、紫雲山大橋、鹿ヶ城大橋、錦橋、佐沼大橋、山吉田橋、桜岡橋、中埣橋、十五貫橋、二ツ屋橋、迫川橋梁（JR気仙沼線）など数多くの橋梁が架けられています。これらの橋梁は、地域住民の生活を支えるだけでなく、交通の要衝として重要な役割を担っています。

迫川の支流とダム：豊かな水資源

迫川には、砥沢川、花山ダム、草木川、長崎川（小田ダム）、昔川、二迫川、熊川、三迫川、大江堀川、長沼ダム導水路（長沼ダム）、夏川（磯田川、上油田川、田町川、地田川）、荒川（落堀川、三間堀川、熊谷川、伊豆沼、内沼、八沢川、太田川、照越川）、旧迫川など多くの支流やダムが存在し、豊かな水資源を提供しています。

迫川の未来：歴史と自然の調和

迫川は、その歴史の中で数々の災害を経験しながらも、地域住民の生活を支え、豊かな自然環境を育んできました。これからも、治水対策や環境保全の取り組みを通して、歴史と自然の調和が保たれ、地域社会に貢献する河川であり続けることが期待されます。

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