通し矢

通し矢の概要

通し矢（とおしや）は、弓術の一分野であり、堂射や堂前とも呼ばれます。この競技は、京都の蓮華王院（三十三間堂）の本堂の西側に設けられた軒下（約121メートルの長さ）を利用して行われ、南から北へと矢を射通す形式です。さまざまな種目が存在しましたが、その中でも「大矢数」と呼ばれる競技が特に有名で、一昼夜の間に堂の南端から北端までの全長を通しで本数を競いました。

歴史

通し矢の起源については様々な説がありますが、保元の乱（1156年頃）に熊野の蕪坂源太が三十三間堂の軒下で根矢を用いて射通したのが始まりとされています。天正年間からこの競技が流行し、1595年には豊臣秀次が「山城三十三間堂に射術を試むるを禁ず」とする禁令を出しました。この時期には、まだ射通した矢数を競う習慣は確立されていなかったようです。

通し矢の大矢数が始まったのは1599年か1606年とされ、最初の記録を残したのは朝岡平兵衛です。彼は、清洲藩の家臣であり、三十三間堂で100本中51本通し、天皇一の名を得ました。その後も多くの射手が記録に挑戦しましたが、実施には高額な費用がかかるため、藩の援助が不可欠でした。寛永年間以降は、尾張藩と紀州藩が記録を更新し続けました。特に、1669年には尾張藩士の星野茂則が8000本を通し、1686年には紀州藩の和佐範遠が8133本を通し、これが最高記録として現在も残っています。

その後、通し矢競技は18世紀中期以降に次第に衰退し、江戸時代には往時の賑わいは失われていきましたが、様々な種目が幕末まで行われました。江戸には江戸三十三間堂が設けられ、異なる種目が盛況を呈しましたが、大矢数では京都の記録を超えることはありませんでした。

東大寺でも通し矢が行われ、京都とは異なる条件で競技が行われていましたが、いずれも高い技術が求められました。江戸時代には過度の競技化が批判され、通し矢が無益と見なされることもありました。明治以降、この競技はほぼ行われなくなり、1899年には最後の大矢数の記録が記されましたが、その後も試技は行われています。

競技の説明

通し矢の競技場は、特に京都の三十三間堂が著名であり、全長121.7メートル、 altura 4.5-5.3メートル、幅2.36メートルとされています。そのため、競技に使用する道具や技術も様々に発展しました。中でも、特注の和弓や軽量の矢、通し矢用に改良されたゆがけなどが使用され、競技を支えました。

通し矢は、競技の普及に伴いさまざまな種目が生まれ、全堂大矢数を含む14種目や江戸での23種目に及びました。特に全堂大矢数は通し矢の花形とされ、厳格なルールのもと競技が行われました。審判役や記帳者が存在し、競技が適正に運営されることも重視されました。

結語

通し矢は、日本の弓術の重要な一部であり、歴史を通じて多くの伝統や技術を育んできました。競技自体は現在も行われているものの、通し矢とは異なる形式で開催されています。今後もその伝統が受け継がれ、新たな競技とともに発展していくことが期待されます。

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