金剛三昧院

金剛三昧院の紹介

金剛三昧院（こんごうさんまいいん）は、和歌山県伊都郡高野町にある高野山真言宗の別格本山の寺院です。本尊として祀られているのは愛染明王であり、仏塔古寺十八尊の第11番霊場として、また西国愛染十七霊場の第17番霊場としても知られています。さらに、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部にも認定されています。

歴史

金剛三昧院の歴史は、建暦元年（1211年）に北条政子が源頼朝の菩提のために創建した時に始まります。その当初は禅定院と呼ばれており、後に承久元年（1219年）に源実朝の菩提のために改称されたことからも、将軍家との深い関わりが見て取れます。

以降、北条政子は大日堂や観音堂、二基の多宝塔、護摩堂、経蔵、僧堂などを建立し、寺院の規模を大きくしていきました。金剛三昧院は、鎌倉幕府と高野山を結ぶ重要な役割を果たし、信者からは特に将軍家の菩提寺として信仰されました。

その後、嘉禎4年（1238年）には足利義氏によって大仏殿が建立され、丈六の大日如来像が奉安されました。このように、さまざまな時代の権力者から支援を受け、金剛三昧院は繁栄していきました。

金剛三昧院は、当時の禅宗のなかでも密教・禅・律の三宗兼学を行っており、浄土教も取り入れるようになりました。特に、浄土教を重視する時期には、心地覚心（法燈国師）を西方寺に迎え、その後、金剛三昧院は主に密教寺院として知られるようになりました。弘安4年（1281年）には僧侶の学道研鑽のため、勧学院と勧修院を造営され、南山教学の中心的な場ともなりました。

江戸時代初期には金剛峯寺の院家としても認識されるようになりました。

境内の見どころ

金剛三昧院内には本堂や位牌堂、護摩堂、そして十三重石塔などがあります。特に注目されるのは四所明神社で、ここでは丹生明神、高野明神、気比明神、丹生御息が祭られています。また、重要文化財に指定されている経蔵は北条政子によって建立されたものであり、独特な校倉造りの構造が特徴です。

国宝に指定されている多宝塔は、檜皮葺の美しい造りで、高さ14.9メートルを誇ります。この多宝塔は日本で二番目に古いものとされています。その他にも、江戸時代に建立された重要文化財の客殿や台所、本坊、山門なども見どころです。

文化財

金剛三昧院には数多くの文化財が存在します。その中でも国宝として認められているのは、多宝塔のみならず、重要文化財に指定されている経蔵や客殿、さらに六体の木造仏像などもあります。特に平安時代の木造十一面千手観音立像や鎌倉時代の木造五智如来坐像は素晴らしい宗教的価値を持ちます。

また、金剛三昧院にあるホンシャクナゲの群生は、和歌山県の指定天然記念物であり、樹齢400年以上とも言われる大木も見られます。周辺には多数の札所があることから、巡礼者にとっても重要な地点となっています。

アクセス

金剛三昧院にアクセスするには、南海鋼索線高野山駅から出発し、南海りんかんバスで『千手院橋』で下車し、徒歩約8分の距離です。歴史の深いこの寺院を訪れることで、古の日本の仏教文化に触れる貴重な体験ができることでしょう。

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